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 初めのご挨拶にもありましたが、司馬遠太郎さんの「我々は地球に生かされている」という謙虚な気持ちを持つことと、自分たちの子供、孫たち、さらにその先の未来の人たちにどんな地球を残せるかという責任を持っているという意識を高めたいですし、家族や友人ともその話をして全体の意識を高めていければと思います。

◆橋 本………環境の問題というのは、身近なことと身近から離れるために理解しにくいことがあって、そのへんがポイントかなと思います。住民の皆さんには直接関係ないために影響がわかりにくいものとして、産業廃棄物の処理の話に触れたいと思います。
 産業廃棄物の処理方法にはいくつかの型があります。汚泥や焼却灰もきちんと処理をしないと結果的には地下水に影響を与えて、子供や孫の時代に却って悪い水質を残してしまいます。それをきちんと処理するために管理型の処分場がある。ところが、わが高知県は初めにも言いましたように、大変自然環境に恵まれてきたから、自然の治癒の力、自然の浄化力も強かった。一方で、産業化・工業化の遅れた県ですから、余り産業廃棄物が出なかったということで、管理型の処分場がまだないのです。全国でももう4つしか残されていない県の一つです。
 ただ、管理型の処分場を作ろうとすると、地域の方にとっては、これだけきれいな川があるのにそんなところにゴミ捨て場を設けたら子や孫の世代に悪い水質を残すのではないかということになってしまいます。きちんと説明ができているのかという行政側の責任ももちろんありますが、長い目で見た時に、本当に今のままの産業廃棄物の捨て方でいいのか、みんなで考えなけれぱいけないのですが、身近なところから離れた課題で、時間的にも長くかかるし、地域の方々には議論していただけるが、なかなか県民全体、国民全体の議論にならないという難しさが環境問題にはあるんじゃないでしょうか。
 少し固い話になりますが、そのためには情報を公開して、みんなで同じ情報に基づいて議論をしていくことが必要だと思います。
 身近なことについても意識の高い人と低い人がいて、そのことは大きな問題でしょう。多分、今日ここに来て下さっている方は、こういう話を聞かなくても理解されている意識の高い方でしょう。会場に来ない人に、どれだけ問題を知ってもらうかが、シンポジウムなどでいつも課題となることです。
 それから言うと、ある程度大人になってから意識を変えるのではなく子供のうちにその大切さを教える、小・中・高校からの環境教育ということが大きな鍵ではないでしょうか。まだ環境教育ができる先生を先に育てることからですが、将来地球環境をみんなが考えるための、大きな第一歩ではないかと思うのです。

 

 

 

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