日本財団 図書館


? 地元経済界及び住民からの支援についての合意形成及びその維持
現在国際機関を誘致している団体において行われた住民合意の形成については、広報誌等による周知、議会に対する説明のみであり、特段の工夫は見られなかった。しかしながら、今後の課題としては、「国際機関に対する住民理解の促進」は「地元経済界・住民ボランティアによる支援のさらなる充実」と並んでトップ(28%)に挙げられている。
地元経済界及び住民からの支援は、熱意が存在する誘致時点をピークとして徐々に低下していくのが通例であり、熱意の低下をどのようにくい止めるかは難しい課題である。特に、誘致した国際機関の活動が住民から見て分かりづらいものである場合、そのような傾向が避けがたいので、誘致活動の段階から例えば広報誌等による当該国際機関の継続的な紹介や、広く住民に対する地元支援組織への参加の呼びかけ等地道な積み上げを行っていくことが求められる。

 

? 地方公共団体による財政負担の増大
地方公共団体は、国際機関に対して国と地方の財政秩序の維持という観点から財政負担を行うべきでないという議論がある一方、アンケート調査によれば、地方公共団体が国際機関に対し一定の財政負担を行っている例が多くなってきている。
国際機関が日本に立地する場合、その財源を本来member statesが負担すべきであるにも関わらず、国際機関側としては富裕国である日本側の負担を当然視している事実があることや、仮に我が国に国際機関を誘致する場合に財政負担が一切許されないということになれば、物価や不動産価格が高く、英語も通じにくい日本国内に、国際機関を誘致することが極めて厳しくなることに留意しておく必要がある。そして、このことが国際機関の誘致に関する国と地方公共団体との間の役割分担が不明確であることと相まって、誘致に熱心な地方公共団体による財政負担を生じさせる事態を結果として招いているので、誘致活動に当たっては、十分時間的余裕を持って国際機関及び国との交渉を行うべきである。

 

? 国と地方の連携協力関係の強化
アンケート調査によると、地方公共団体が国際機関の誘致を行うことについて、本来的に国が独占的に行うものではなく、地方公共団体も国際交流・国際協力の主要な担い手となっている今日、積極的に行うべきものであるとした団体が14団体(24%)、本来的には国が主として行う事業ではあるが、地方公共団体も国際交流・国際協力の主要な担い手となっている今日・誘致を行うこと自体特段の問題はないとした団体が40団体(68%)である。このことは、地方公共団体の側で国際機関を誘致することに対する機運が高まっていることを示している。また、誘致の競合について、やむを得ない又は望ましいと回答した団体

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION