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国際連合地域開発センターと自治体との連携
国際連合地域開発センター

 

1 国際連合地域開発センターの設立と機能
国際連合地域開発センター(UNCRD)は、25年前の1971年、日本政府と国際連合の協定により、名古屋に設立された。その目的は開発途上国の地域開発に関わる中央・地方政府の担当者の、計画策定、実施能力の向上にある。ここで地域開発とは、国家全体についての、国土・経済開発と、開発の現場である都市、地区の開発との中間の広がりをもつ、いわば国をいくつかに分けたサブリージョンの開発を指し、わが国では北海道開発計画とか、東北、九州開発計画、あるいは首都圏、近畿圏、中部圏開発計画などに相当する。
地域開発計画は、その意味で最終的目標たる国土開発、国家経済開発と各都市、各地区で実施される個々の開発事業とを結ぶ開発計画であり、個別事業をどのように相互に有機的に連携させれば、最も効率的に国土開発と国家経済成長を達成しうるかを指向するものである。
1960年代、開発途上国が大挙して国連加盟を果たしたことにより、国連は「開発と経済成長」を大きなテーマとして取り上げ、1968年経済社会委員会で、途上国においては、こうした地域開発計画の策定が重要であるとの決議が行われた。というのも開発途上国においては、国家計画開発のために重要とみなされた各種の事業計画が、ドナーの目処がついたものから順に、いきなり地区に振り分けられ、具体の事業として実施され、各事業相互の脈絡に欠けるのみならず、各事業の効果を最大限に引き出すために当然必要となる関連事業への配慮に欠け、国家経済の成長になかなかむすびつかないという実態があったからである。こうした状況は現在のアフリカ諸国などでは、いまも変わらない。
国連社会経済理事会では、途上国への地域開発技術の普及には人材育成がまず第一に行われる必要があるとして、世界に10〜11箇所の研修センターを作る事を提案した。
日本では、都市部、開発可能部、農村部が適度に混在し、かつ多くの地域開発事業の実績をもち、途上国の教材が豊富な名古屋圏が候補に選ばれ、地元愛知県、および名古屋市の熱心な誘致もあって、第1号のセンターとして設立された。基本運営経費は、日本政府が全額負担し、1996年度では7億2千万円が拠出されている。
しかしその後同様のセンターは設立されず、結果として世界で地域開発を扱う唯一の国連専門機関として今日に至り、アジアのみならずアフリカ、ラテンアメリカまでをもカバーしている。
UNCRDの事業内容は以下の4つに大別される。
(1) 研修
(2) 調査研究

 

 

 

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