

国際化に対応した地方税制のあり方に関する調査研究報告書
税として徴収すればよいことになる。つまり、地域社会の住民に比例的な所得税を課税すればよいと考えられる。
しかし、こうした地方所得税も利益原則にもとづく課税であることは間違いない。地域住民が地域社会のメンバーシップとして、受益する公共サービスの対価として課税されているからである。しかも、生産物市場や要素市場の対価として課税されてきた地方税も、残存させておく必要がある。いうまでもなく前述のような現物給付、メンバーシップを持つ地域住民だけでなく、その地域社会で取引をし、交流する人々も享受するからである。つまり、グローバル化にともない、地域住民がメンバーシップとして納税する比例所得税を基幹税に、要素市場や生産物市場への利益課税によって補充する地方税体系を形成する必要があるということになる。
4.地方税と税収配分
グローバル化にともなっても、地方税として利益原則にもとづく租税が配分されるため、地方政府間での税収配分には問題が生じない。もともと地方税は、地方政府がオープン・システムの政府であることを前提にしているため、市場経済がグローバル化し、ボーダレス化して、中央政府間もオープン・システム化するとしても、税収配分上の問題は生じないといってよい。
ところが、国税はそうはいかない。もともと、国税は境界が存在していることを前提にしている。そのため能力原則にもとづく租税が国税として設定されている。能力原則にもとづく租税は、居住地基準で課税されなければ意味がない。ところが、経済がボーダレス化し、グローバル化し始めると、能力原則にもとづく租税の課税が困難となり、利益原則的性格を帯びざるをえなくなる。そうなると、源泉地基準も正当化の根拠をもつことになり、居住地基準と源泉地基準とのコンフリクトの解消が重要な課題となる。
W.むすび
グローバル化にともなって、地方税は利益原則にもとづく租税を配分するという税源配分の原則が変わるわけではない。しかし、これまでは能力原則にもとづく国税を、利益原則にもとづく地方税が補充すると考えられてきた。そうした主客が、グローバル化によって逆転する。つまり、利益原則にもとづく地方税を、能力原則にもとづく国税が補充する租税体系へとシフトする。そのためには地方税において、利益原則を体系化する必要がある。それにはメンバーシップ課税としての地方所得税を基軸に、「二つの分断された市場」への利益課税により補充される地方税体系の確立を目指すべきであるというのが、ここでの結論である。
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集計期間:成果物公開〜現在 更新日:
2008年11月29日 |
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