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京都市における「高齢者にやさしいまちづくり」施策の現状と課題
 
京都市企画調整局文化の京推進室
担当課長 星川茂一
 
はじめに
ご承知のとおり、我が国の人口は、著しい少子化・高齢化の真っ直中にある。65歳以上の高齢者人口及び高齢化率は、平均寿命の伸びや出生数の減少を反映して今後も上昇を続け、21世紀の早い時期に、国民の4人に1人が65歳以上の高齢者という世界に例をみない水準の高齢社会が到来すると予測されている。さらに、平成9年1月21日に「人口問題審議会」に厚生省の付属機関「国立社会保障・人口問題研究所」が提出した「将来推計人口」では、2050年には、高齢化率が32.3%と、3人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢社会の到来が予想されている。
このような著しい高齢化の進展に比べて、国民の意識や社会経済システムの変革は遅れている。平成7年11月に成立した「高齢社会対策基本法」の前文にある言葉を借りれば、今、まさしく「このような事態に対処して、国民一人一人が生涯にわたって真に幸福を享受できる高齢社会を築きあげていくためには、雇用、年金、医療、福祉、教育、社会参加、生活環境等に係る社会のシステムが高齢社会にふさわしいものとなるよう、不断に見直し、適切なものにしていく必要があり、国及び地方公共団体はもとより、企業、地域社会・家庭及び個人が相互に協力しながら、それぞれの役割を積極的に果たしていくこと」が求められている時代である。
京都市においても、地域社会、ボランティア団体、医療機関等、あらゆる団体や市民と相互に協力する中で「高齢者にやさしいまづくり」に取組んでいるところであるが、この取組は、ハードからソフトまで非常に広範な分野にわたっている。
本稿では、京都市における高齢化の現状と、「高齢者にやさしいまづくり」の全体施策を概観した上で、平成7年度に実施した「京都市高齢社会対策実態調査」の結果に基づいてその現状と今後の課題を探ったものである。従って、個別施策についてはほとんど触れていないことをお断りしておきたい。

 

 

 

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