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記録的豪雪体験にみる「高齢者にやさしいまちづくり」
〜札幌市における「高齢者にやさしいまちづくり施策」の現状と課題〜
札幌市企画調整局企画部企画課
飯塚 實
 
1 はじめに
 
雪の季節がまたやって来た。昨年(平成8年)の冬は、札幌で総降雪量が観測史上最高の680?を記録するなど、まさに異常ともいえる気候だった。
特に1月9日は、未明からの豪雪(地元では「ドカ雪」と呼ぶ。)のため、地下鉄を除く市電、バスなどがストップし、道路も除雪が追いつかず渋滞が相次ぐなど、各地でまひ状態に陥った。JR、空の便も運休、国道等の幹線道路も不通となったため、周辺の市町村も大きな被害を受け、札幌市、小樽市、石狩町(現石狩市)では、自衛隊に災害派遣要請まで行った。
この豪雪は、市民生活にも大きな影響を与えた。交通機関のまひによる通勤・通学や物流の遅れはもちろんのこと、高齢者、障害者、病人といった社会的弱者は、命に危険を感じるほどの状況に置かれた。当時の新聞記事を紹介しよう。
※大雪のため中止されていたお年寄り対象のデイサービスなど札幌市内の各福祉サービスは、除排雪が進んだ10日、ほぼ通常どおりに戻りつつある。ホームヘルパー活動や業者による配食サービスも再開され、援助者なしには生活の成り立たない体の不自由なお年寄りたちは、胸をなで下ろしているようだ。
「ただいま」。たくさんの薬が入ったビニール袋を持って、ホームヘルパーのAさん(53)は、豊平区の市営団地で独り暮らしのBさん(81)宅に入ってきた。連日の大雪でベランダも雪に埋まっている。Bさんは「ヘルパーさんがいないとどうもならん。感謝しとるよ」とAさんに頭を下げた。
Aさんは、札幌市在宅福祉サービス協会豊平センターに所属する。豊

 

 

 

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