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2 行政と民間等との間の連携
 
高齢化の進展によって、サービスの提供を必要とする高齢者が増加したことなどにより、必ずしも行政によるサービス提供のみで多様化・高度化する福祉ニーズに万全に対応できるとは限らない。また、サービスの需用者である高齢者の側にも、自己の好みにあった質的にも高いサービスを受けたいという傾向も強まってきている。こうした中で、民間事業者やボランティアなどが提供する福祉サービスの中には、行政にはない先駆的・先導的サービスもみられるようになってきている。こうしたことから、今後の福祉サービスの提供に当たっては、行政によるサービスに加え、地域コミュニティやボランティア団体、民間事業者などが提供するサービスを組み合わせることにより、市民に対する福祉サービスの水準を高めることを検討していくことも必要であると考えられる。
行政としては、こうした行政以外の者による福祉サービスの供給についても適切に行われるようにするため、こうした活動主体と連携を図り、これらの者との間でパートナーシップを構築して、各種の支援を行ったり相談に応じていくことが必要となろう。また、各活動主体の活動内容等について、それらのサービスの提供を必要とする高齢者に対して情報を提供していくことなども重要な行政の役割となるであろう。
 
第3章 大都市行政における高齢者施策の課題と今後の在り方
 
ここまで我が国及び大都市における高齢化の状況と大都市の高齢化社会における行政の役割についてみてきたが、この章においては、行政が行っていくべき具体的な施策についてみていくこととする。高齢者福祉に係る施策を例えば社会活動への参加意欲と高齢者個人の行動力の2つを軸として分類すると、図4のようになると考えられる。ここでは高齢者福祉に係るこれらの施策の中から、?高齢者の社会参加促進と生きがいづくり(?、?)、?高齢者に対する効果的な保健・福祉サービス提供(?)、?バリアフリーなまちづくり(?)の3つに分けて論ずることとする。
1 高齢者の社会参加促進と生きがいづくりのための方策
(1)社会参加意欲の高揚
定年退職後の高齢者が心の支えを持つためには、社会との関わりを持ち続けることが重要である。シルバー人材センターや高齢者のための研修施設などは、こうした高齢者に社会との関わり持ち続けてもらうための一つの手段として位置づけることができる。
社会参加に係る高齢者のニーズは変化してきており、行政の施策も、それを受けて引退した高齢者のための趣味・生きがい対策のほか、高齢者の現役延長的な活動支援

 

 

 

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