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男性約77歳、女性約83歳となり、50年弱の間に25〜30歳も伸びている。これは、諸外国と比較しても我が国の平均寿命は世界一の水準にあり、今後も少しずつ伸びていくことが予想されている。
 
?出生率の低下
我が国における出生率低下の原因としては、女性の晩婚化が進みそれに伴い出産年齢も遅くなっていることと未婚率の上昇があげられる。晩婚化の原因としては、まず、女性の高学歴化、就業率の高まり、女性の結婚観の変化などが指摘されている。結婚観の変化については、総理府「女性に関する世論調査」(平成2年9月)によれば、「結婚をした方がよい」とする者の数を「どちらでもよい」とする者の数が上回っており、こうした結婚観の変化は未婚率の上昇という形で現れていると考えられる。こうした晩婚化の現象とそれに伴う出生率の低下は、全国的にみると特に大都市で目立っている。
 
(2)我が国における高齢化の特徴
我が国における高齢化の進展は、国際的に比較して際だった特徴があるといわれている。その第1は、高齢化の進展速度が極めて高いという点であり、第2は高齢者人口の比率が極めて高い高齢化社会の到来が予想されていること、第3は高齢者の中でも特に75歳以上の後期高齢者と呼ばれる部分の人口が顕著な伸びを示しているという点である。
まず高齢化の進展速度についてみると、我が国の場合、高齢化の進展が始まったのは1970年代以降と比較的最近であるが、高齢化率(65歳以上の人口の割合)が国連の定義する「老年の国」となる7%から倍の14%に達するスピードは欧米主要諸国の2倍から5倍程度となっている(図1)。
また、今後の高齢化率の予想をみると、平成22年(2010年)頃には21.3%で世界一の水準になるとされており、さらに、厚生省人口間題研究所「日本の将来推計人口(平成4年9月推計)」の中位推計によれば、平成32年(2020年)頃には高齢化率が25%を超え、国民の4人に1人が高齢者という状況が、その後、平成102年(2090年)頃まで統くと見込まれている(図2)。
さらに、高齢化の中身についてみると、75歳以上の後期高齢者の増加率は、65歳から74歳までの前期高齢者のそれに比べかなり高くなっているとともに、女性の割合が高い。前述の「日本の将来推計人口」中位推計によれば、前期高齢者の人口増加は平成28年(2016年)頃には頭打ちになると予測されているのに対し、後期高齢者人口は増加の一途をたどり、平成34年(2022年)頃には前期高齢者人口を上回るものと予想されている(図3)。後期高齢者は、前期高齢者に比べ寝たきり、痴呆性などの要介護高齢者の出現率が格段に高まるといわれていることから、後期高齢者数の増加は、今後高齢者間題をさらに深刻化させるものと考えられる。

 

 

 

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