日本財団 図書館


第3章 中央環境審議会答申(今後の環境影響評価制度の在り方について)の概要
 
平成8年6月28日に、今後の環境影響評価制度はいかに在るべきかについて、内閣総理大臣から中央環境審議会に対して意見が求められた。その後、同審議会で精力的に審議が進められた結果、平成9年2月10日に答申がなされた。
この答申は、国の制度としての環境影響評価制度について、新たな制度が備えるべき基本原則を明らかにしたうえ、政府に対し、この答申に即して速やかに環境影響評価の法制度化を図ることを求めたものである。
以下は、その概要である。
 
? 制度の見直しの基本的考え方
 
環境影響評価制度は、環境基本法、行政手続法等の制定等の状況に対応して、適切に見直されるべきである。
答申に示す基本原則を具体化するに当たっては、統一的で透明性が保たれ、わかりやすい制度とするよう留意することが必要である。
 
? 今後の環境影響評価制度の在り方
 
1.制度の目的及び趣旨
 
(1)制度の目的
環境影響評価制度は、事業者自らが、その事業計画の熟度を高めていく過程において十分な環境情報のもとに適正に環境保全上の配慮を行うように、関係機関や住民等、事業者以外の者の関与を求めつつ、事業に関する環境影響について調査・予測・評価を行う手続を定めるとともに、これらの結果を当該事業の許認可等の意思決定に適切に反映させることを目的とする制度である。
(2)制度の形式
立場の異なる広範な主体の役割・行動のルールを定める制度は、法律によって定めることが基本であること、環境影響評価制度を行政指導の形で実施することについての限界が指摘されていることを勘案して、法律による環境影響評価制度を設けることが適当である。
 
2.早期段階での環境配慮と環境影響評価の実施時期
 
(1)事業に係る環境影響評価手続の開始時期
準備書の作成・提出に先立ち、環境影響評価に係る調査・予測を開始する際に、事業者が、事業に関する情報、事業者が行おうとする調査等に関する情報を提供しつつ、地方公共団体、住民、専門家等から環境情報を収集するための意見聴取手続を導入することを基本とすべきである。また、このような手続の導入に当たっては、情報の提供時期、提供する情報の内容等について、事業種等に応じた対応のできる仕組みとすることが適当である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION