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4)患者の安全・安楽を考慮し全身清拭が実施できる。
5)実施した看護を評価できる。
?Z 考察
清潔を保持するうえでは入浴が理想的であるが、安静臥床を強いられた患者にとっては困難な場合が多い。入浴ができない場合、それにかわる清潔の方法として全身清拭がある。
学生が基礎看護技術において学んでいるのは、石けん清拭である。しかし、臨床では、部分的な石けん清拭は行っているが、全身清拭には蒸しタオルを使用していることが現状である。三年生の臨床実習においては、授業で習った一般的な援助技術をそのまま患者に実施するのではなく、患者の病態生理を理解した上で患者に適した援助を実践することが必要である。全身清拭に関する一般論は多く出版されているが学生に患者に応じた清拭援助を学ばせる目的から、今回事例をあげ、それをもとに指導案を作成した。指導案を作成するにあたっては、看護過程にそって展開していくことにした。看護過程を展開する能力もさることながら、私たちの基礎的知識も問われることになり清拭援助に関することや、この患者に特有の疾患、老人の皮膚の特徴、褥創に関することについて復習が必要であった。そこで学生が習ってきた教科書を改めて見ると、清潔の意義、目的、全身清拭施行上の原則と注意点について根拠もふまえて記載されており、学生が多くの知識を学んでいることに気づいた。
今までの臨床実習においては、学生に科学的根拠について問うことなく、具体的な方法や患者が安全・安楽であるかという視点で指導していたが、今回、臨床実習指導案を作成し、もっと学生の能力を引き出す指導が必要であることを痛感した。

 

 

 

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