日本財団 図書館


 

?Fマスターズ水泳と背泳ぎ

(財)日本水泳連盟医・科学委員

筑波大学体育科学系教授 高橋伍郎

1.背泳ぎの泳ぎ難さと泳ぎ易さ

バタフライは誰でも苦手としており、クロールと平泳ぎは比較的誰でもそれなりに泳げるのに対して、背泳ぎが特に男性が苦手としているのは上向き姿勢で泳ぐために必死で泳がないと顔に水がかかり、鼻から水を吸い込む危険を感じるからである。それを防ぐためにはさらに必死でもがいて挙げ句の果ては疲れ切ってしまうパターンを繰り返し、結局練習をしなくなるからである。一方、女性や一部の浮き易い男性では浮力が比較的大きいために、ゆうゆうと浮くことができ、そのためさらに余裕を持って、たっぷり水に浸り、楽に泳げる良い循環を生み出すことができる。したがって女性や子どもにあっては呼吸のし易さも相俟って、初心者指導を背泳ぎから始めるケースもたくさんある(写真1)。

2. 背泳ぎの練習法

背泳ぎの練習はかなり上手になってからでも浮き方の練習から始めるとよい。

背浮きを行うときの注意。

(1)十分に息を吸う

(2)耳までたっぷり水に浸り

(3)底を軽くけって腰を伸ばす

この3点がキーポイントである。

これらはいずれも浮力や慣性の力等の自然の力を有効に働かせるための言葉かけであるが、この背面浮きをさらに確実に安定させていくためには同時に背浮きからの立ち方を練習するとよい。特に背泳ぎが頑固に苦手な者に対しては最初に立ち方の練習をするほうがもっと効果的である(写真2―?@〜?D)。

045-1.gif

写真1 男性マスターズスイマーにとっては音字の背泳だが応用範囲は広い

045-2.gif

写真2‐?@ 十分に息を吸って

045-3.gif

写真2−?A 耳までたっぷり水に浸けて

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION