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されるためにも、科学調査は不可欠である。同様に、「ストラドリング魚種資源」(条約63条2項)に関して海洋法条約を実施するために最近採択されたいわゆる「実施協定」でも、予防原則がとられている(4)。なお公海生物資源の保存に関しては、各国が最大持続生産(Maximum Sustainable Yield, MSY)を維持しまたは回復する措置をとることを義務づけているが、その措置も入手可能な最善の科学的証拠に基づく措置であることが要求され(第119条)、さらに条約は、入手可能な科学的情報、漁獲量および漁獲努力量に関する統計、魚類資源の保存に関する資料を定期的に提供しあるいは交換することを国家に義務づけている。深海底に関しても、深海底機構および各締約国に科学調査の自由を保障するとともに(143条、256条)、調査および分析の結果が利用可能である場合には、これを調整し普及させることを確保する義務を課している。海洋環境の保護および保全に関しても、締約国間において海洋汚染に関する研究の促進、科学的調査計画の実施、収得した情報および資料の交換などの措置を奨励する(200条)とともに、それら情報を考慮して海洋環境の汚染の防止、軽減および規制に関する国際基準を作成するための「科学上の基準を設定するために協力」するものとしている(201条)。特に深海底に関しては、法律・技術委員会を設置し、その任務の一つとして深海底活動に起因する海洋環境の汚染の危険または影響について、科学的方法により観察・計測・評価・分析を行うための管理計画を提案し、またその実施を調整するものと定めている(165条2項(h))。以上は明文で規定されている例を掲げたのにとどまり、およそ海洋科学調査は海洋の秩序ある利用の原点であり(5)、またとくに海洋資源の保存および利用、海洋環境の保全など海域利用に起因する新しい問題の調整が海洋法条約に取り込まれたことにともない、とりわけ海洋法条約の実効を確保するうえで重要である。
 
2.科学調査の意義
海洋法条約は、海洋科学調査に関していわゆる「同意制度」(consent regime)を採用し、原則として海洋科学調査には沿岸国の同意が必要であるとしつつも、とくに資源に関連する排他的経済水域および大陸棚に関しては、通常、同

 

 

 

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