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我が国の排他的経済水域における漁業取り締まり

 
海上保安大学校教授 大塚裕史
 
1.はじめに
海洋法に関する国際連合条約は、200海里を超えない範囲で沿岸国が排他的経済水域を設定する権利を付与すると共に、同水域において、沿岸国が漁業、鉱業、海洋環境の保護・保全に関して幅広い権利を行使することを認めている(55条以下)。我が国も、同条約の締結に伴う国内法の整備の一環として、排他的経済水域及び大陸棚に関する基本法として「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」(平成8年6月14日法律74号、以下「排他的経済水域法」という)を制定し、排他的経済水域の設定及びその範囲、大陸棚の範囲、排他的経済水域及び大陸棚における我が国の法令の適用等について規定している。
排他的経済水域は、漁業以外の海洋の経済的利用全般に対する権利を含むものであるが、特に、漁業分野に関しては、暫定的な措置として制定された「漁業水域に関する暫定措置法」(昭和52年5月2日法律31号)を廃止し、新たに、恒久的な措置として、我が国の排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利について規定する「排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律」(平成8年6月14日法律76号、以下「排他的経済水域漁業主権法」という)を制定し、同水域内で外国人が行う漁業等に対する具体的な規制内容を定めている。
なお、我が国は、大韓民国及び中華人民共和国との間に、日韓漁業協定、日中漁業協定を締結しているが、これらの協定は、領海外における漁船に対する取締りは、当該漁船が所属する国(旗国)が行うという旗国主義に立っており、

 

 

 

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