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ヴォダ(P.Wojewoda)氏が市長を務めている。市の行政組織としては幹部会の下に書記局と主計官、並びに市役所(行政機構)と、外局として上下水道やごみ収集を担当する公共サービス局、市内の1,062の公共住宅と40の商店を管理する公共住宅管理局、そしてラヴァ・マゾヴィエツカ市が株式を100%保有する公有企業の集中暖房会社が存在する。また評議会の下には、管理・経済開発・予算・公共資産・法務・教育文化の6つの委員会が設置されている。

ウ 市が抱える問題

ラヴァ・マゾヴィエツカ市の担当者は、市の財政が必ずしも豊かではないこと、特に本来は国から出るはずの補助金が支給されていないことが市の行動を制約していることを強調していた。例えば委任事務の中心となっている市民登録関連の事務でさえ、ラヴァ・マゾヴィエツカ市の場合本来交付されるはずの必要額の60%程度しか支給されていないとされる。また小学校関連についても国から提供されるはずの一般補助金が十分に支給されず、そのためグミナの予算の50%を小学校関係に回さなければならなくなっている。これらの理由により市が本来なすべき投資、特に住宅関連への投資が十分に行えず、市は3年前から公共住宅を新規に建設できなくなっているという。現在では様々な権限が中央から自治体に移管されているが、肝心の予算がそれに伴っていないことを、市側は重大な問題としてとらえている。

また雇用を十分に確保できる大きな産業が市内にあるわけではないラヴァ・マゾヴィエツカ市の場合、失業対策も重要な問題となっている。失業率は2年前の16%に対して現在は11%にまで下がっているが、今後の対策として何らかの事業を招く必要があること、そして投資を行う企業(特に外資)に対しては固定資産税などで税制上の優遇措置をとる予定があることを述べていた。

6 結語として 一 比較の観点から

以上ポーランドの地方制度について、不完全ながら基本的な情報を整理してきた。最後にポーランドの地方制度の現況を、他の東欧諸国とどこが異なるのかという視点から簡単に整理しておきたい。

ポーランドの地方制度に関する比較の試みについては、いくつかの研究が存在する。例えば先にあげたシヴィアニィエヴィッツは、東欧諸国は強力な中央集権システムの遺産が残っている点では共通性を有するが、その中でポーランドは社会主義期から農業を中心に民間部門が存続していた点、強力な反対派が存在したことで地方における「有力候補」を見いだしやすかった点、地方の基礎団体であるグミナの規模が他の東欧諸国より大き

 

 

 

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