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他に借入や公債の発行による資金調達も可能であるが、条件が厳しいためポーランドでは一般的には利用されていない。地方の財政基盤は必ずしも十分ではないが、それでも多くの自治体が黒字、ないし少額の赤字の範囲で財政を運営している。例えば以下の表に見るように、主要10都市において1994年の単年度で財政赤字を出したのはウッジ・シチェシン・ヴロツワフの3都市に過ぎず、またその額も大きなものではない。県ごとのグミナの財政の平均をみた場合でも、49県中26県では県内のグミナの財政の平均は黒字となっている。ただしこの点についてウォリッチ(1996:17)は、移行経済諸国においては支出の必要性と支出責任に関する規定が整備されていないこともあり、「本来二一ズによって決定されるべき支出水準が歳入面のみの配慮に支配される」状況が生じていること、そのために収入が十分でない場合必要なサービスが供給されないといった問題が生じることを指摘している。

ポーランドの場合グミナ全体の財政規模は国家財政規模の約24%と比率は必ずしも高くないが、これは県の財政が国家予算として処理されていることにもよる。グミナの財政においては別表のように、地方税と財産収入をあわせた自己収入が40%、交付税が23%、各種補助金が37%程度の割合を占めている。支出面では賃金などの経常的な支出が約50%をしめる。分野別の支出については、多少古いものだが1992年のデータによると、公共サービス部門が27.6%、教育関係が19.7%、行政と社会福祉がそれぞれ約11%、住宅が8%となっている(Barbone&Hicks1995:170)。

 

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