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不明確な部分も多い。ここではとりあえずこの「小憲法」の規定に従い、現在のポーランドの立法・行政各機関の概要を整理しておく(なお以下の条項は、「小憲法」の条項を示している。なお中央の政治制度について、詳しくは、仙石1996aを参照されたい)。

ア 大統領

大統領は国民による「普通・平等・直接・秘密」選挙を通して選出される。任期は5年で再選は1回のみ可能。35歳以上でポーランドの市民権を持つ人物が立候補することができる。投票者の過半数の票を獲得したものが当選となるが、1回の投票で過半数の票をえた候補がいない場合には14日後に上位2名による決選投票が行われる(29条)。

大統領は国内・国外に対して国家を代表し(28条)、特に対外関係について全体的な監督を行う(32条)。国内の治安と国外の安全保障に対して責任を持ち(34条)、国軍の最高司令官となり(35条)、戒厳令を施行する権限を持つ(36条)。またセイムの解散や法案の提出、法案の憲法裁判所への提訴などを単独で行える(47条)。ただし憲法に規定のない法的行為を行う場合には首相、または関係閣僚の副署が必要となる(46条)。

大統領は議会の議決に対して拒否権を持つ。セイムが3分の2以上の絶対多数で再度同じ議決を行った場合は大統領の拒否権は覆されるが、その場合でも大統領は問題となる議決を憲法裁判所に提訴しその判断を仰ぐことができる(18条)。大統領が重大な憲法、ないし法令違反を犯した場合は、上下両院は議員の4分の1以上の発議で国家裁判所への弾劾を提議でき、全議員の3分の2以上の賛成が得られた場合には大統領は弾劾される(50条)。

イ 議会

ポーランドの議会は定数460のセイム(下院)と、定数100の上院の二院制が採用されている(3条)。任期はともに4年であり、セイムが解散した場合は上院も自動的に解散となり両院同時に選挙が行われる。下院は定数のうち391議席については、各県を選挙区とする定数3名から17名の選挙区からドント式の比例代表制により選出され、残り69議席は得票率7%を越えた政党に配分される。なお少数民族政党を除き、得票率が全国で5%(政党連合の場合8%)に達しなかった場合、セイムの議席を獲得することはできない。上院は1県2名(ワルシャワ・カトヴィッツエの2県は3名)を定数とする単純多数制が採用されている。

小憲法では議会の組織と権限は法律で規定されることになっているため、具体的な議会の権限は明示されていないが、少なくとも法案の可決、国家予算の採択、国民投票の発議、首相の任命、戒厳令の施行は小憲法の規定により行うことは可能である。ただし一部の権限は大統領も行使できることとなっており、かつ小憲

 

 

 

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