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権が法定されている(§404e)。
 そして、州を介在せずに、連邦と市が直接対時することにより、一方で州相当の多数の事務を市が引き受けると同時に、「首府ゆえの」連邦による制約を被ることになる。例えば、市長は特別区全体の総合計画について権限を持つが、それは、市議会だけでなく、連邦首府計画委員会の承認を必要とする。また、より一般的な連邦のコントロール手段として、連邦議会の市法案拒否権(§601、あわせて連邦法の専管事項について§602に規定されている)や、連邦の予算審議権及び大統領による予算の拒否権(§603)が挙げられる。最近の後者の例として1989年10月には、市政府の中絶費用への補助に対して、大統領が全予算に拒否権を行使したため、連邦議会での修正が求められることとなった例が挙げられる。
 財政に対する連邦のコントロールの実質的根拠は、連邦がD.C.予算の15%を負担していることに求められるが、この負担自体、「首府」ゆえのコストがあることに加えて、非居住者や連邦に対する市の課税が制限されていること(§602)の補償的性格を持つ点に注意する必要がある。

(4)展望一州への昇格論と都市圏問題

 市行政における連邦の制約からの解放や、連邦議会における代表権を求めて、D.C.のニュー・コロンビア州への昇格(statefood)を求める運動が70年代から展開されることとなる。連邦議会における代表権獲得の手法としては、連邦議会の権限に関する連邦憲法第1節の修正を求める手もあるが、この手続きは、議会の議決による新川の加入手続き(第4編第3節)よりは、手続きが厳重で一連邦両議院の各2/3、ないし各州中2/3の議会の発議で、各州中3/4の議会ないし州憲法会議の承認(同第5編)一現に、78年両院により提案されたD.C.に州同様の選挙権を認める修正案は、必要な38州の承認を得られなかった。
 そこで、1982年には、加入手続に必要な、州憲法草案の住民投票による承認を経てき、翌年には州への昇格を求める請願が連邦議会に提出されたが、法案としての審議には到らず、その後も同様の運動が継続中であるが、沿革をひきずった〔党派とからんだ〕人種問題等の障害は大きい模様である(14)。
 他方で、首府の都市圏は拡大し、メアリランド・ヴァージニア両州に拡散化していることも、広域的な都市行政の観点から問題となる。すなわち、それらの圏域に済む

 

 

 

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