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複合していないとだめなのではないかと思ったのです。これは後で「混在性」という立派な都市計画学上の言葉だということが判ったのですが。

(市村)結局、郊外移転ではなくて、ここで増築して工場をつくったのです。そんなことをしていましたら、ちょうど小布施町が、今度は工場の裏側に、葛飾北斎を小布施に呼んだ高井鴻山の隠居屋の一般公開を発表した。そこでまた考えたわけです。町並み保存という運動がありますね。それから、生活機能も私どもには大切ですし、さらに商業活動といろいろな要素を考えた上で、これは町の計画に対応した方がいい。そしてまずは隣接する地権者、個人2軒と長野信用金庫という金融機関と、それから私たち小布施堂の4者で、この一帯がどうなればいいか、徹底的に本音のところで話し合った。その際、戦後の東京などの複雑な権利変換を思えば、知恵を出しあえばかなりのことができるはずだと。そして素人だけで話してもだめだから、建築家の宮本先生を呼んできて、おおよそのゾーニング、どういう形になったらいいのかというプランをまとめて町に提出したわけです。

増築とは、小布施堂の工場「傘風合」のことである。その名前は、葛飾北斎が小布施滞在中に描いた人物「傘厨子」に由来する。ここは隣接する4者の話し合いの過程で、例えば町が国際記念館をあるレイアウトで計画するなら、その裏手にある私の家も動かしたい、そうだとすれば国際記念館の位置ももう少し変えた方が良い、というように、議論を通じて、お互いの姿を変えながら全体像がつくられていった。その結果は別紙のとおりである。おそらく、ここで4者のうちの誰かが、自らの権利等を譲らなければ、結果としてまちなみのどこかに唐突な建築物が残り、一帯の美しさは失われてしまっていただろう。

(市村)ここで提案したのは、町が一般公開しようとしている土地は表通りと離れていて入りにくい。だからいずれは周辺を再配置しなければならないだろうと。それについては、周辺の地権者としては、こういうふうにやりたい、町も一口乗りませんかということなのです。要は建物を再配置したり、新しくつ

 

 

 

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