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このような支所の強化の動きは、いわゆるコミュニティ行政と関係があるように思われる。それは一番住民に近い機能の強化であり、住民の公共的な活動の支援とパラレルに考えられているに違いない。全国でも様々な形式のコミュニティ行政が行われている。最も多いのはコミュニティ・センターの自主管理で、自主管理集団として町内会を始めとする地域集団に加入し、何がしか地域のことを自分たちでやる組織である。この程度のものがコミュニティの「自治」と言えるかどうかは別として、この形態のコミュニティ組織は実に広く見出され、政令指定都市でも非常に多い。これに関連して、特に70年代からの動きとして、住民協議会を組織するところがある。これは、中野区、三鷹市、武蔵野市、あるいは目黒区等でみられる。中野区の住区協議会は純然たる話し合い組織であるが、その他の3協議会はすべてコミュニティ・センターの自主管理集団でもある。しかし本来は地域の様々な課題を話し合うものであり、活動的な協議会、例えば三鷹市の大沢住民協議会のようなものもある。少々脱線するが、住民協議会の中には、町内会とうまく行っていないものもある。日本の住民参加を考えるときに、町内会というのはもっとも困難なテーマである。町内会と新しいセンスを持った人とが対立して不毛に終わるか、あるいは町内会だけで組織されているか、あるいは町内会でも新しいセンスもっている所もあるなど、なかなか難しい問題である。一方でハードのまちづくりのための協議会を組織する自治体もある。神戸市のまちづくり協議会はその例であるが、いわば人の私的所有物に対していろいろ注文をつけるという性格上、相当コミュニティの質が高くないとできないという難しい面をもっている。それから、最近よく見られる地域福祉的な組織がある。神戸市には「ふれあいのまちづくり条例」に基づく「ふれあいのまちづくり協議会」が組織されている。これは福祉センターのような小さな施設を運営し、地域福祉活動をやるという趣旨のもので、コミュニティ・センターの自主管理と似ている面がある。その他に社会福祉協議会があり、これは法律上は心置のものであるが、事実上町内会を基盤にしているから、地区レベルの社協の活動もコミュニ

 

 

 

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