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業、政治、行政、マスコミなどへの信頼性をどれだけ掘り崩してしまったか、その結果、近年の政治的言説空間が如何に貧しい閉塞状況に追い込まれてしまったか、を考えれば明らかである。コミュニケーションの創造性は、相手の言説にたいする不信感が前提では、充分な発現を妨げられてしまう。したがって、必要な情報を特定の組織・集団の占有にしないことである。情報公開・開示の制度化によって隠蔽・ごまかし・虚偽を防止することはパブリック・コミュニケーションの活性化にとって重要な前提条件である。さらに、協働への信頼感を培うような意思決定参加の仕組みや利害調整を円滑にする協働支援的制度など、工夫すべき課題は多い。技術面では、情報ネットワークが協働的コミュニケーションの技術基盤となる可能性をもっている。しかし、コミュニケーションを展開するのは、結局のところ、情報機器ではなく、人間である。これまで述べてきたような人間コミュニケーションの特性を見据えた制度的・技術的な工夫が肝心である。最後に、協働とは一見対照的に見える規制緩和や地方制度の分権化など、自由化の動きにふれておきたい。規制緩和や分権化よる企業間や自治体間の自由な競争促進は、下手をすれば共存を破壊する結果になりかねない。競争は、より良さものを共に求めて競い合うコンペティション(競争)ともなりうるし、また、勝つために手段を選ばずに相手を蹴落とすことも辞さないエミュレーション(競争)ともなりうる。競争を不毛の「ゼロサム」へ導くエミュレーションから救い上げ「プラスサム」のコンペティションヘ導くのは、コラボレーションである。競争は協働の促進と相侯ってはじめて、「ゼロサム」を「プラスサム」に転換する強力な力となり、真の豊かさに向けて人々や経済を活気づかせることができるのである。

(注1)文献[1]。

(注2)《意味づけ論》については文献[2]を参照されたい。また、それに先行する文献[3]の併せて参考にされたい。

(注3)《コラボ財》という概念はSFCコンソーシアム・プロジェクト「不動産業の21世紀ヴィジョン」、主査・高橋潤二郎、1996年3月)において・筆者

 

 

 

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