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  6−2内航海運業における経営基盤確立のための方策

  (1)共同化、協業化に向けて

 内航海運業における経営基盤の強化策としては、既に、昭和40年代の内航海運組合法施行時に、協同組合化や協業組合化が進められている。当時は木造の機帆船が主体であり、多くの一杯機帆船主が存在していた。これらの業者が共同の利益を享受するために、内航海運組合法の船腹調整事業を行うと同時に地域別あるいは貨物別の協同組合化や協業組合化が推進された。このことが中小企業対策として有効な方法とみられ全国で40組合程度結成されたが、現在活動をしているのは血縁、地縁的な結びつきが強い20組合程度といわれている。
 現在、九州における協業組合の経営環境はかなり厳しいものがあるが、共同化、協業化することは荷主に対する交渉力や営業力の強化、さらに、貸渡業においては用船料の交渉等のために有効な手段であると思われる。今後さらに内航海運業の経営が厳しくなることが予想されることから共同化や協業化は、他の助成と併用しながら実施すれば、有効な経営基盤の強化策になると思われる。
 総連合では「環境整備の計画」の中でグループ化・協業化に加え、合併・転廃業の推進を目標に掲げている。この計画を進めることにより経営基盤確立の強化、船腹需給変動への対応力の確保、船員の安定的な確保を図ることとし、当面、船員配乗の共同化・船舶の共同運航・般用品の共同購入等を進める計画を打ち出しており、事業の拡大や経営基盤の強化のためにこの方策を浸透させていく必要がある。

  6−3モーダルシフトに関する経営基盤確立のための方策

  (1)モーダルシフトの可能性について

 昭和末期になると、物流をめぐる諸制約要因(労働力不足、道路交通における渋滞件数の増加、夜間交通量の増加、交通事故発生件数の増加等)への対応策して環境にやさしい輸送方式への移行(モーダルシフト)が、運輸政策に取り上げられるようになった。
 その主たるものは、トラック輸送から鉄道コンテナ輸送、内航船舶輸送への移行であった。しかしながら、荷主二ーズの高い時間帯には旅客列車の輸送も多いため貨物列車ダイヤの増設等が困難なことや内航輸送においてはコンテナ船やRORO船の新規建造が容易でないこと、港湾施設使用料や荷役費用が割高であるといったことが、モーダルシフト推進上の制約要因として取り上げられている。現在、九州運輸局において「九州モーダルシフト推進協議会」の場で協議されている内容を受け、関係業界にあっては、長距離フェリーでの運賃・料金の営業割引制度の導入、鉄道コンテナ輸送においては輸送枠の確保(列車編成の長大化等)が検討され、モーダルシフトが進められている。

 

 

 

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