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・I育児休業給付の実施(1995(平成7)年)
1994(平成6)年6月、「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立し、1995(平成7)年4月から育児休業給付が支給されることとなった。1歳未満の子を養育するため育児休業を取得した被保険者であって、原則育児休業開始前2年間に通常の就労を行っていた期間が12か月以上あるときに、休業を開始する前の賃金の25%相当額が支給される。ただし、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われている場合であって、その賃金と育児休業給付との合計が育児休業開始前の賃金の80%を超えるときは、育児休業開始前の賃金の80%から育児休業期間中に支払われた賃金を差し引いた額が支給される。
・J育児休業期間中の年金保険料および健康保険料等の免除の実施(1995(平成7)年)
1994(平成6)年6月に成立した健康保険法等の改正および同年11月に成立した国民年金法等の改正により、育児休業期間中の厚生年金保険料や健康保険料等の本人負担額が免除されることとなり、1995(平成7)年4月から実施された。

 

III Aエンゼルプラン
平成6年に策定されたエンゼルプランを見てみよう。

 

(「平成8年版厚生白書」)
○今後の子育て支援のための施策の基本的方向について(エンゼルプラン)
平成6年12月16日
文部省
厚生省
労働省
建設省
1 少子化への対応の必要性
平成5年のわが国の出生数は、118万人であり、これは、戦争直後(昭和22年)の268万人の半分以下である。また、女性が一生の間に生む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.46と史上最低を記録した。少子化については、子ども同士のふれあいの減少等により自主性や社会性が育ちにくいといった影響や、年金などの社会保障費用に係る現役世代の負担の増大、若年労働力の減少等による社会の活力の低下等の影響が懸念されている。
こうした状況を踏まえ、少子化の原因や背景となる要因に対応して子ども自身が健やかに育っていける社会、子育てに喜びや楽しみを持ち安心して子どもを生み育てることができる社会を形成していくことが必要である。
子育てはとかく夫婦や家庭の問題ととられがちであるが、その様々な制約要因を除外していくことは、国や地方自治体はもとより、企業・職場や地域社会の役割でもある。そうした観点から子育て支援社会の構築を目指すことが要請されている。
2 わが国の少子化の原因と背景
(1)少子化の原因
(晩婚化の進行)
1 わが国においては、男女とも晩婚化による未婚率が増大している。昭和50年頃から未婚率は、どの年齢層においても上昇しており、特に、25歳から29歳までの女性についてみると、未婚率は昭和50年に20.9%であったものが平成2年には40.2%と飛躍的に増大している。
(夫婦の出生力の低下)
夫婦の持つ子ども数を示す合計結婚出生率は昭和60年には2.17であったが、平成元年には2.05とわずかであるが低下している。今後、晩婚化の進行が止まっても年齢的な限界から子どもを生むことを断念せざるを得ない人が増加し、出生率は低下傾向が続くという予測もある。
(2)少子化の背景となる要因
(女性の職場進出と子育てと仕事の両立の難しさ)
わが国においては、女性の高学歴化、自己実現意欲の高まり等から女性の職場進出が進み、各年齢層において労働力率が上昇しており、将来においても引き続き伸びる見通しである。一方で、子育て支援体制が十

 

 

 

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