日本財団 図書館


 

はじめに

 

国民の意識の変化や価値観の多様化等を背景として、近年、ボランティア活動への参加が高まっている。そして、その活動も福祉、環境、まちづくり、国際交流等の様々な分野で展開されている。
阪神・淡路大震災を契機にボランティア活動の重要性が再認識され、ボランティア団体・個人が活動しやすい環境の整備を行うことが各方面から要請されており、国、地方公共団体において様々な取組みが検討・実施されている。また、ボランティア団体には、人々に自己実現の場を提供する役割等様々な役割が期待されるようになってきており、この役割を積極的に評価し、それらの持てる力を地域社会の中で十分に発揮できる仕組みと方策を検討していくことが重要な課題となっている。
このような状況の中で、地方公共団体がボランティア団体・個人を行政と対等な主体として、どのように連携していくべきか、事例を通して考え、行政とボランティアとの連携のあり方について検討することとする。
なお、市民活動促進法(NPO法)案については、現在、国会で審議中であるので取り上げていたい。
1 群馬県
都道府県レベルでは初めてボランティア担当の総合的窓口を設置するとともに、「ボランティア等社会参加活動推進のための基本方針」を策定し、ボランティア活動の総合的な推進に取り組んでいる。この方針に基づき、ボランティア情報紙の発行等県民に対する情報提供・啓発活動を行うとともに、市町村にボランティア・ネットワーカーを配置し、ボランティア活動のネットワークづくりを推進している。ボランティア担当部門の取組みを中心に取り上げることとする。
2 東京都世田谷区
世田谷区では、世田谷ボランティア協会、世田谷まちづくりセンター等の取組みにより、多様なボランティア活動が展開されている。また、区政の様々な分野で区民参加を促進しており、区とボランティア団体等が連携を図って取組みを進めている。この中から、プレーパーク事業、いじめ問題への対応、公園の管理、福祉のまちづくりといった先進的な取組みについて取り上げることとする。
3 愛知県豊田市
生涯学習としてのボランティア活動の推進に取り組んでおり、行政とボランティア団体・個人がより良く関わっていくため、市職員のボランティア活動に対する認識の向上を図っている。また、市とボランティア推進機関等で構成する豊田ボランティアネットワークを設置し、市とボランティア推進機関等が一体となって「市民がボランティア活動に一層参加しやすい環境づくり」を進めている。さらに、生涯学習出前講座等を実施し、ボランティア団体等が行う地域づくりを推進している。
4 兵庫県西宮市
西宮市は、阪神・淡路大震災の際、ボランティア団体・個人の連合組織である西宮ボランティアネットワーク(NVN)と緊密な連携を図って救援活動を展開した。この西宮市とNVNとの連携は、「西宮方式」と呼ばれ、行政とボランティア団体・個人との新しい関わり方として注目を集めている。震災時における両者の連携の状況とその後のボランティア活動の拠点の整備等を取り上げることとする。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION