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(3)ゴールドプラン実施の基盤整備と福祉8法の改正
(平成7年版厚生白書)
ゴールドプランは、在宅福祉、設備福祉などの事業について、今世紀中に実現を図るべき目標を全国ペースで示したものであるが、地域においてこれら事業を円滑に実施していくためには住民に最も身近な行政主体である市町村において、保健福祉サービスを一体的かつ計画的に提供する体制を整備することが必要であるとされたため、平成2年にいわゆる福祉8法改正(※)(「老人福祉法等の一部を改正する法律」)が行われた。この改正では、在宅福祉サービス(ホームヘルパー派遣事業、ショートステイ事業、デイサービス事業)のいわゆる「在宅三本柱」を施設福祉サービスに並ぶものとして明確に位置づけるとともに、市町村は地域の実情に応じてこれらサービスの積極的な実施に努めることとされた(平成3年1月施行)。国としても、市町村における在宅福祉サービスの積極的な支援を図るために、国の負担を3分の1から2分の1に引き上げ、市町村の負担の軽減を図るほか、事業の委託先の多様化や対象要件の緩和などを図ってきたところであった。また、従来は、特別養護老人ホームヘの入所の措置事務など施設福祉は、町村の大部分については都道府県が実施しており、施設福祉サービスと在宅サービスが二元化していた。しかし、個々の高齢者の心身の状況に応じて、真に求められているサービスをきめ細かに提供していくためには、住民に最も身近な行政主体である市町村が在宅福祉サービスと施設福祉サービスの双方を一元的に供給できる体制を整備する必要があった。このため、高齢者および身体障害者についての入所措置の権限を都道府県から市町村へ委譲し、福祉サービスの一元化を図った(平成5年度実施)。ここにおいて、従来から市町村が実施主体とされていた老人保健事業と併せ、高齢者の保健福祉サービスは市町村において提供されることになり、保健福祉の連携によるサービスの総合的な提供が行われる制度的な基盤が整備された。
さらに、ゴールドプラン実施のためには、ホームヘルパーや看護職員、寮母・介護職員などの大幅な人材の拡充・確保が必要であることから、平成4年にいわゆる人材確保2法(「社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律」および「看護婦等の人材確保の促進に関する法律」)が成立し、人材の養成力の強化・処遇の改善、就業の促進などの総合的な人材確保施策が推進されることとなった。
※福祉8法の改正
1 改正の要点
(1)在宅福祉サービスの積極的推進
?@在宅福祉サービスの位置付けの明確化
ア 福祉各法における位置づけの明確化
イ 社会福祉事業法の社会福祉事業への追加
?A在宅福祉サービスの支援体制の強化
ア 社会福祉・医療事業団に基金を設置
イ 社会福祉協議会及び共同募金の活動の推進
(2)在宅福祉サービスと施設福祉サービスの市町村への一元化
(3)市町村及び都道府県老人保健福祉計画の策定
(4)障害者関係施設の範囲の拡大等
(5)その他
2 改正した法律
?@老人福祉法
(やさしい福祉のしくみ財団法人自治総合センター)

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