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第2章において述べたとおり、地方公共団体における職場研修の現状をみても、職場研修実施計画を策定している団体は少なく、計画的な職場研修の実施への取り組みはあまり進んでいない。また、職場研修実施計画を策定している団体においても、人事担当課が関与する場合も含めて計画の策定を各所属に任せているところが多く、各所属の計画策定に対する人事担当課の関与の度合いについては、策定について指導・助言すること及び策定要領を通知することが主な関与の仕方である。
しかし、日常の仕事の管理をきちんと行えば自然に職場研修の実践も行うことができるというものでもないのであって、管理監督者は日常のマネジメントにおいて仕事の管理の中に、職員を指導し育成していくという職場研修の視点を常に持っていなければならないといえる。業務が順調に進むときも思うように進まないときも、恒常的に職場研修の視点を保持することが必要なのである。
管理監督者は、このような考え方を基本として、日常の職務の流れを分析し、その中にどのような能力の開発・向上が求められるか、また、どのような指導の機会があるのか、さらに、どのような指導の方法が考えられるのかという「管理の視点」から、職場研修を自覚的に工夫し実施していくことが重要である。ここで「管理の視点」を持つということが、職場研修を「計画的に」進めることにほかならない。すなわち、職場研修の「計画性」とは、管理監督者が、職員一人ひとりについて半年先、一年先まで各人のキャリア開発の方向をも考えて能力の向上・開発を、PDCA(Plan〜Do〜Check〜Action)のサイクルで継続的に進めていくことである。

 

2)着眼点

 

こうしたことを踏まえて、実際に計画的な職場研修に取り組む上での着眼点を挙げると次のとおりである。
?@ 人事担当課は、職場研修実施計画の策定要領やガイドラインを定め、各所属が計画的な職場研修に取り組みやすい環境整備を行う
?A 人事担当課は、職場研修実施計画の策定について積極的に各職場の相談に応じるように努める
?B 「現状の分析→研修必要点の確認→指導目標の設定→主要な手順の決定→細部プランの設定→実施」といった手順に沿って実施する

 

 

 

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