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認識できるような力を身につけなければならない。また、住民ニーズを正しくつかむための調査・分析能力も必要である。
次に、政策目標を実現するために必要となる枠組み、仕組みをつくりあげるためには、政策目標が対象としている行政領域に関し広い知見を持っていることが必要である。そして、その知見に基づきながら具体的な制度としてまとめあげていくことができなければならない。その際、条例や規則という形で制度をまとめあげることができる力を持っていることも必要である。したがって、法的なセンスや法的実務能力(法務能力)も政策形成能力の重要な要素となる。
また、政策が実際に意味を持つためには、当該地方公共団体において遂行すべきものとして位置づけられなければならない。そのためには、政策目標とそれを実現するための枠組み、仕組みの妥当性、必要性について政策決定責任者、住民・利害関係者等に説明をし、コンセンサスを獲得することができなければならない。したがって、人を説得する力、調整能力も政策形成能力の重要な要素となる。
さらに、政策が先駆的な試み、ユニークなものであるときにはなかなか理解されない場合が出てくるが、このような場合、政策形成に携わる者は、そうした状況に耐えながら政策を認知させる努力を続けていかなければならないことになる。そのためには説得能力や調整能力に加え、根気や、必要があれば妥協や修正をいとわない柔軟性、バランス感覚を身につけておくことも必要となる。

 

2)地方分権の進展と政策形成能力
地方公共団体については、これまで、ともすれば国(省庁)の設定した制度の枠組みを前提にその中で問題に対応するための工夫や知恵を凝らすといった側面があった。しかしながら、今後、地方分権が進展していくに伴い、地域の課題に対しては自らの力で必要な枠組みを作りあげていかなければならなくなる。そのために必要となるのが政策形成能力なのである。今日、地方公共団体、そしてその職員について政策形成能力の向上を図っていくことが強く求められているのはこのためである。
なお、地方公共団体において特に重要なことは、時代の変化に的確に対応しながら住民と地域に根ざした政策を構築していくということである。したがって、地方公共団体において政策を形成していくに当たっては、地域の現実の中から課題を見出し、解決のための

 

 

 

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