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?A 仕事の割り振りや目標の与え方の工夫

 

また、地方公共団体の職員を対象として産能大学で実施した「組織の中で人が育つ機会と状況」についての調査結果をみると、「仕事そのものが自分を育てた」という回答が最も多くなっている。具体的な局面としては、多くの業務・職場を経験したこと、未知の仕事にチャレンジして成し遂げた経験、ひとかたまりの責任のある仕事を任されたとき、仕事上の困難な課題を解決したとき、仕事そのものが常に新しい知識と能力を要求した、などが挙げられており、まさに仕事が人を育て、組織が人を鍛えるということが明らかになっている。その意味で、職員にどのような仕事を任せ、その達成をどのように指導し、支援していくかということを職場研修の中心的内容の一つとして検討するべきである。

 

?B 指導方針と実施システムの確立

 

さらに、職場研修はともすれば無方針、無計画になりやすいことから、その場限りの一過性の出来事になることを防ぐためには、指導方針の確立とともに、人事考課との連携等実施システムの確立が不可欠である。
?@で指摘したような職員の状況に応じた職場研修を実際に行っていくためには、当該職員の能力開発の状況を十分に把握して基本的な指導方針を確立した上で、業務の各局面において適切な指示、指導を行っていくことが重要である。
また、教育効果を一時的なものにとどめないためには、組織として、ある職種、ある職層に対して何を期待し要求しているのか、すなわち、自分たちの組織にはどのような種類の仕事があり、それをどの程度のレベルで遂行するのか、そのためにはどのような能力が必要であるのかという職務基準と職能要件が上司・部下ともに明確になっていることが必要である。
そして、「こういう努力をこれくらい続けたら、こういう結果が得られる。その結果についてこういう報酬が保障されている。」ということが、システム(能力向上の測定システム、評価システム、人事考課システム)として確立されていないと、研修が一人歩きをはじめ、甚だしい場合は研修が行事化してしまうのであり、こうした人事考課と連携した職場研修の実施システムが組織内に確立していることが求められるのである。

 

 

 

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