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行なっている。
?ある種の開発計画の実施もしくは、その一部を行なわないことにより環境への影響をさける。
?ある種の開発計画の実施もしくは、その実施の程度の大きさを最小にすることにより、環境への影響を最小にする。
?環境へ影響を与えた場合その環境を修復したり、復元したり、回復することにより、環境への影響を矯正する。
?開発計画を実施している期間中に、保存や保全作業をすることにより、時間をかけて衝撃を減らしたり無くしたりする。
?代替の資源や環境を提供したり、それらに置き換えることにより環境に対する影響を補っておく。

Fig.1. The flow of the michigation technique

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(2)ミチゲーションに至る経緯
イ.ミチゲーションまでの開発側と監督機関のやりとり
ミチゲーションは許認可の付帯条件として記載され、この条件を満たされなかった場合は事業内容の変更とみなされ、許可は取り消されることがある。
口.ミチゲーション計画書の内容(フロリダ州の環境規制部の例)
?ミチゲーションを行なう対象地の記述
つくられる、あるいは守られる湿地の種類、機能、現存する生物種、生息密度、土壌の状況、水文学的状況。
?植栽計画
植栽種リスト、各種ごとの草丈・樹高及び密度、植物材料の入手先。
?湿地建設・修復方法
使用される重機、その他、対象地内のアクセス及び重機配置計画、対象地地盤整備計画。
?モニタリング計画
報告書の計画、統計的分析の手法、成功を判断する基準。
?ミチゲーション費用見積り
地盤整備、植栽、コンサルタントフィー、モニタンリグ合む。
?ミチゲーションが不成功だった場合の計画
(3)ミチゲーションバンキング(mitigation Banking)制度
開発による打撃の緩和、予想される必要な手段を前もって採用し、生物の生富地を回復または造成などを行い、工事関連の損失が全て保証されるまでそのクレジットが継続される制度であり、これによって開発行為の許可が早まるという利点がある。
また、このクレジットは他の開発者に一部分譲・売却もできることになっている。
(4)生息場評価の考え方
?生息域アプローチ(Habitat)
生息域の一広さを主にして考えるやり方、面積を測るだけであるので非常にやりやすく最もポピュラーである。
?ポプュレーションアプローチ(Population)
色々な種類の野性生物について、各種別にどれだけ生息しているかを数えるやり方。
?エネルギーフローアプローチ(Energy Flow)
太陽がエネルギーを与えて、それから植生が出来、付随して動物が出来、動物と動物の間にエコロジーのフードチェーンができ、そこで生態系ができる。物理的、合理的な生態系の構造を考えていくやり方。合理的であるがややこしく手に負えないというのが現状。
?ジオモフォージーアプローチ(Geomorphology)
地面に穴を掘り、放置していると水が溜り、そこに何方動くもの、生態系が出来上がる。地形的な環境が出来て、その後生態系というものが出来てくる。つまり、根本的に立ち返った生息評価の考え方。
?ブラックアンドホワイトアプーローチ(Black-and-White)
生息場であれば100%価値あると見なせ、そして、この代替はその5倍にして返す、黒と白の間のグレイはないという考え方。ウェットランドであれば100%の価値がある生息場であるという極端な考え方。
(5)評価法
?HEP( Habitat Evaluation Procedures)
現在使用されている最もポピュラーな方法。理想的なユートピアを一つつくり出して、それを100%と見なして、現在はいくつあるか、種はいくつあるか、60%に達していれば0.6とする。

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(Habitat Suitability Index: HSI)の値はエキスパートが数人で決定している。また、Habitat Units(HU's)=HSI×Areaで決る。
HEPは元来、野性生物の生息域としての評価を行なうものであるが、この生息域としての適性とレクリエーション等の人間活動あるいは、資源採取等の経済活動との関連が明かであれば、HEPの結果からこれらの活動の適性を評価することも可能である。
?WET(Wetland Evaluation Techniques)
北アメリカで過去発表された生態系に関する論文を全部網羅して、生態系を構成する必須の変数はどういうものがあるかを調べ約80〜90くらいの変数を抽出する。その変数をウェットランドがエコロジカルに持っている機能と人間の価値概念からみた機能を9つのカテゴリーに分け、それぞれのカテゴリーについて判定する。判定基準は人間社会にとって大事であるか

 

 

 

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