日本財団 図書館


 

第5章  提 言

5−1 課題

調査団は都市交通プロジェクトの実現の一助とするため現地視察、情報収集を実施し、また現地受け入れ機関の状況等の各種検討を行った。本調査は総合的な都市交通調査の早期実現のため、プノンペン市及び公共事業・運輸省と都市交通計画調査の内容、事業実施体制等についての協議を行ったものである。

この中で、プノンペン市の都市交通の現況と課題を整理すると以下のようにまとめられる。

(1)土地利用状況

プノンペン市の市街地は堤防道路(内環状道路)に囲まれた約35k?であり、その外側部は水田等の農耕地である。プノンペン市の発展にはこの外側部が将来市街化されることが考えられ、すでに民間による土地投機が進んでいる。

カンボジアでは、土地収用法の整備がなされておらず、実際に事業を行う段階で土地を手当する手段がなく、公共スペースをどう確保していくかが今後の大きな課題である。また現在市都市計画局で、この外側部の大まかな土地利用計画が1/10,000で作成中である。

(2)都市交通状況

カンボジアの経済復興はインフラストラクチャーの老朽化と補修の不備によって、大きく妨げられており、中でもプノンペン市のインフラストラクチャー再建はカンボジアの経済復興の鍵を握っている。特に経済開放政策によって著しく発展をしている第三次産業にとって、都市インフラの整備は必要不可欠である。

交通インフラは主要幹線道路のみ舗装されており、準幹線道路以下は未舗装状態である。さらに市内を流れるトンレサップ川の洪水のため、道路舗装の劣化が著しく、維持管理の予算不足等もあって、道路整備が十分されていない。交通状況は公共交通が未整備なこともあって、モーターバイクが市民の交通手段の中心的な役割を果たしている。同時に、経済復興により、モーターバイクの保有台数が著しく伸びたことから、朝、タのラッシュ時にはモーターバイクが市内に溢れている。市内交通量は95年世銀調査で50,000−80,000台/日であり、その内約70−90%がモーターバ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION