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2−5 バックアップデータ保管の多重化

 コンピュータシステムのハードウェアが全滅した場合でも、バックアップデータがあれば、時間を掛けてでもシステムを再構築することは可能である。阪神・淡路大震災の場合でも、現実にコンピュータシステムー式が全滅しながらも、バックアップデータを使ってシステムを再構築した事例がある。(日経コンピュータ95年3月20日号『特別レポート阪神大震災の現場から』、神戸新聞社WWWホームページ中の『休刊セズ(http://www.kobe−np.co.jp/sinsai/sonotoki/document.html)』)
 通常ラックに保管されているバックアップMT/CMTとともに、その写しを別の建屋に保管する、あるいは専門業者に保管を委託することによって、庁舎倒壊などといった最悪の事態であってもバックアップデータが安全である可能性を高めることができよう。
 ただし、バックアップ作業自体が時間のかかるものであり、全てのデータを頻繁にバックアップすることは事実上困難である。通常業務における日次・月次のバックアップ作業と調整を図って、例えば休日前のバックアップでは重要なマスターファイル全体のバックアップを行なうなど、バックアップレベルの取決めも必要だと考えられる。

2−6 代替機材の確保

 第3章でも見たとおり、阪神・淡路大震災においてはコンピュータメーカーの迅速な対応によって早期に連絡が取られ、要員・機器の両面で補給がなされたが、その他の機材に関しては必ずしも同様の状況になかったといえる。
 こうしたいわゆるロジスティクスの面については、次のような観点からメーカー、関連業者との間で震災時の対応についての打合せを行っておく必要があるものと考えられる。(なお、情報システムの運用を委託している場合には、運用業者との間で震災時の対応全体について提示するように求める必要があろう。)

 ・震災時の派遣技術要員の確保

 ・PCや端末などの置換え用機材の確保

 ・サイト内での補修用部品・資材の備蓄

 

 

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