第3章 情報機器等の被害に対する具体的な復旧作業の調査
第1節 調査概要
被害状況の調査(第2章)と同様に、阪神・淡路大震災の被災地域の地方公共団体及び企業・団体を対象に調査を行い、34件のデータを得た。
調査内容は、1月17日以降の復旧作業を時間経過を追って洗い出すとともに、それらの作業の障害となった事項を調査した。その調査結果は、参考資料の復旧作業調査結果のとおりである。
全般的な傾向としては、応急処置、状況調査・連絡作業、マシン室復旧作業、システム復旧作業、復旧後のシステム運用、被災対応システム改修・開発という手順になっていた。手順の全体像とおおよその所要期間は、図一2のとおりである。なお、情報システムの復旧作業以外に災害対策本部の支援などもあり、以下の作業に情報システム部門の全員が従事したわけではないことに留意されたい。
第2節 応急処置
調査事例の地方公共団体では、地震発生後、職員がマシン室に駆けつけ応急処置を行っている。主な作業としては、次のものがある。
・電気配線の破断
・ショートによって火災が生じる恐れがあったため、電源を切断。
・余震によるコンピュータ被害の拡大を防ぐために、自動運転システムを停止。
・その他火災が発生する可能性がある場合の防止措置。
・冷却液導管の破断等による漏水がある場合の措置。
開かなくなったマシン室の扉を壊して入室したり、ロッカー等の重量のある什器類が転倒・傾斜している間を通るなど、建物が損傷している中で危険な作業となった。
第3節 状況調査・連絡作業
応急処置に続いて、マシン室等の被害状況の調査、システム部員の安否確認などを行い、復旧のための体制を整えることになった。具体的な作業内容はおおむね次のとおりである。
・現状把握のための被害状況の調査(マシン室や冷却設備等の目視による確認)
・散乱物(書類、MT等)の回収
・安否確認のためのシステム部員への連絡
・庁内各部署へのコンピュータ使用不能などの連絡
・復旧活動支援要請のためのメーカー、関連業者への連絡
この時点では、頻繁に余震が続いており、被災した庁舎の建物としての安全性は未確認のまま、庁舎内での作業を行なわざるをえなかったことは、結果的に二次災害に至らなかったとはいえ、非常に危険なことだったと言えよう。また、断続的な停電や断水等により、作業そのものが中断を余儀なくされる場合もあった。さらに、地震発生後まもないこの時点では、電話が不通で種々連絡が困難だった。