第2節 マシン室
2−1 フリーアクセスフロア
マシン室は、配線のとりまわしなどのために、フリーアクセスフロアを採用している事例が多いが、それが陥没するなどの被害が目立った。同じフリーアクセスフロアでも支柱を床に固定しているか、床板の中に固定されているものがあるかどうかなどで強度に差が出ている。床板が一部外れたために穴ができて、機器類の転倒の原因になったものが多い。
2−2 空調設備
今回の調査の中で最も被害が目立ったのは、空調設備、特に水冷の設備だった。クーリングタワーの倒壊、配管破損による液漏れ、断水による機能停止などである。これは地方公共団体だけではなく、阪神・淡路大震災における情報システム関連の被害全般について同様の状況であるものと考えられる。(日経コンピュータ95年3月20日号『特別レポート阪神大震災の現場から』)そして、水冷式空調設備の被害は、復旧までに時間を要したケースが多かった(1か月〜数か月)。
コンピュータは多量の熱を発生し、冷却を行わなければ安全な運転は望めない。空調設備はその要となるものであり、それが最も被害を受けたにもかかわらず早期に運用を再開できたのは、阪神・淡路大震災が冬に発生したために外気温が低く、外気の取り込みや補助空冷設備の運転で室温が維持できたことによるところが大きいといえよう。
2−3 電源設備
電源設備関連では、電力供給が停止しても、自家発電システム等のバックアップ電源を稼動させたところが多かった。なかには、コンビュータヘの電気供給のパスをUPS(Uninterruptible Power Supply無停電電源装置)だけに限定している地方公共団体で、UPS自身が損壊したために供給不能になってしまい、急邊UPSを迂回する工事を行って電源を確保したところもあった。
バックアップ電源関連の被害では、バッテリ盤が転倒してバッテリ液が漏れ、マシン室のセメント床を溶かしてしまった例があった。また、電源がショートしてバッテリが溶解燃焼し、火災が発生した例もあった。