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第1章 阪神・淡路大震災の概況

 今回の調査研究は、阪神・淡路大震災における地方公共団体の情報システムの被害と復旧の実状を前提としている。ここでは、まず阪神・淡路大震災の概況を示すこととする。
 平成7年(1995年)1月17日未明、淡路島北部を震源地とするマグニチュード7.2の地震が阪神・淡路地区に発生した。その揺れは「阪神地区には大きな地震は起きない」とする風説とともに、高度に発達した現代社会の基盤をも揺るがすものだった。
 神戸市の須磨区鷹取、長田区大橋、兵庫区大開、中央区三宮、灘区六甲道、東灘区住吉、芦屋市のJR芦屋駅周辺、三条町・山手町の一部、西宮市の夙川周辺、淡路島の北淡町・一宮町・津名町の一部といった産業と生活双方の地域を広く震度7という最大級の揺れが襲った。この結果、6,000名を超す死者、30,000人を超える負傷者、20万を超える建物被害を出すという未曾有の大災害となった。
 被災した世帯は40万世帯を超え、そのうちピーク時で30万人を超える人々が厳冬の中、学校や公園などの避難所での生活を余儀なくされた。災害救助法の指定を受けた地方公共団体は10市10町に上るが、各団体ともこれら被災住民の救済・生活支援と、都市としての機能の復興に全力を注ぐ日々が続いた。
 電気・ガス・水道といったいわゆる「ライフライン」も多大な被害を受け、地域によっては1〜3ヶ月の間、不自由を強いられることとなった。電話を中心とする通信機能も被災したため、初期において被害の状況を把握し、発信する機能に多大な障害を来たしたといえる。
 表一1に兵庫県のとりまとめによる被害の概況を示す。

 

 

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