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 第3節 研究の概要

 調査研究の概要は、以下のとおりである。

3−1 阪神・淡路大震災の概況

 阪神・淡路大震災においてコンピュータに関わる特徴として、「過去に経験したことがない最大震度7という激しい地震だったこと」、「早朝5時46分という就業時間外に発生したこと」、「季節が冬であり、気温が低かったこと」が情報システム被災の状況を決定した大きな要因であると考えることができるが、まず、第1章では阪神・淡路大震災の概況について取りまとめた。

3−2 災害による情報機器等の被害状況の調査

 第2章では、阪神・淡路大震災の被災地域の地方公共団体及び企業を対象に情報システムにおける各種機器の被害状況の調査結果について取りまとめた。
 被害の状況としては、各種機器の横ずれ、フリーアクセスフロアが剥れたための機器の転倒や空調設備が水冷式であったため断水や配管破損による機能の停止が目立った。
 また、磁気ディスク内のデータは、地震が午前5時46分という早朝であったため、地方公共団体では運転時間外であり大きな被害は免れている。
 全般的な傾向としては、庁舎が大きな被害を受けない限り、情報システムの被害は少なかったと言える。

3−3 情報機器等の被害に対する具体的な復旧作業の調査

 第3章では、阪神・淡路大震災の被災地域の地方公共団体及び企業を対象に情報システム部門が行った復旧作業の調査結果について取りまとめた。
 復旧作業の手順として、概ね応急処置から始まり状況調査・連絡作業、マシン室復1日作業、システム復旧作業、復1日後のシステム運用、被災対応システム改修・開発となっている。
 なお、復旧作業については、情報システム部門の全員が従事したわけではなく、災害対策本部の支援などもあり、限られた人数の職員で行われた。
 また、被害にあった地方公共団体の情報システム部門が改修・開発した罹災証明や義援金交付等に係る被災対応システムの具体例を取りまとめた。

3−4 阪神・淡路大震災における課題の整理と対応の考え方

 策4章では、被害の状況及び復1日作業の調査結果から、阪神・淡路大震災における震災対応の課題を「安全だと考えられたものが必ずしもそうではなかったため対応に再検討が必要になった場合」、「未対応の場合の危険性は意識されていたが、対応内容が不十分だった場合」、「対応が適切だった場合」といった面から分類することにより、特性が一層

 

 

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