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7・5 短波の伝搬

 短波(HF)帯の電波は、電離層からの反射電波によって遠方まで伝搬するのが特長である。その電離層での反射は、電離層内での電離による最大電子密度、電波の周波数及び電波の電離層への入射角によっても異なるが、E層からの反射とF層からの反射によるものが主体である。D層を通るときに電波は減衰を受けるが、その減衰は近似的であり、電子密度と電波の通路長に比例し、電波の周波数に逆比例するので、この周波数帯となるとその減衰はそれほど大きくない。E層を突抜ける周波数になると、F層での反射波は数千kmの遠距離まで、さらに、その電波が大地で反射し、もう一度、F層で反射したいわゆるtwo−hopの伝搬によってさらに遠距離まで達することもある。しかし、短波の電離層反射波は、図7・4からも分かるように、近距離では利用できず、電離層の状態と周波数によって地表波も電離層反射波も到達しない跳躍距離と呼ばれる電波のまったく到達しない範囲が生じ、また、一つの場所に二つ以上の経路を通った電波が到達して、互いに干渉しあってフェーディンクを生ずることも多い。

 このように、短波帯の電波は電離層の状態によってその伝搬距離が決まるので、

 

 

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