日本財団 図書館


 

7.2 今後のヘリコプター用計器飛行方式
ICAOでは1991年に衛星システムを主体とするFANS(次世代航空航法システム)構想を採択した。我が国においても平成6年航空審議会の答申により、FANS構想推進の方針を決定している。さらに次世代航空航法システムはヘリコプターの特性を十分に生かしたIFRシステムの構築が可能と考えられる。
従って前項で述べた現行基準に削ったヘリIFR運航の早期実施と平行して、次世代航空航法システムに基づくヘリIFR運航システムの構築が必要である。
1)通信・航法・監視
将来的には、衛星通信、衛星航法、衛星を利用した監視を前提とする。当面は、現有のVHF、VOR/DME・NDB、監視レーダの補助として衛星システムを利用し、安定性の確認や運用領域の拡大(例えば電波のブラインドエリア近傍)を行う。また、現有施設の利用が困難な地域においても将来システムに移行することが有効であると考えられる。
2)管制方式
将来的には、衛星通信、衛星航法を利用したADS(自動従属監視)を前提とする。前項目と同様の試行、移行を行う。
3)出発進入方式
将来的には、衛星航法を利用した出発進入方式を前提とする。本方式には、航法衛星の完全性と精度の確保のため、VHFもしくは通信衛星(運輸多目的衛星)を使用したGNSSオーバーレイ機能も前提とする。当面は航法衛星を使用した非精密進入を実施し、将来的には精密進入の実施を目指す。
非精密進入方式としては、米国航空局が1994年に実施した飛行試験及びこの結果に基づき発行された米国航空局通達8260.42号(1996年2月15日)が参考となる。
4)低高度航空路
将来的には、衛星通信、衛星航法を利用したヘリコプター専用低高度航空路の設定を前提とする。当面は、現有のVHF,VOR/DME・NDB、監視レーダの補助として衛星システムを利用したヘリコプター専用低高度航空路を設定し、有効性の確認や運用領域の拡大(例えば電波のブラインドエリア近傍)を行う。次いで現有施設の利用が困難な地域から衛星システムを利用したヘリコプター専用低高度航空路に移行する。ヘリコプター専用低高度航空路に関しては、米国のボストン・ニューヨーク・フィラデルフィア・ワシントンを結ぶいわゆるノース・イースト・コリドーにおいて開始されたGPSを利用した飛行試験結果が参考になると考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION