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7. ヘリコプター用計器飛行方式の検討

7.1 現行基準の弾力的運用・改訂に関する検討
海外の計器飛行方式基準と我が国基準の比較検討及び現行基準にもとずく模擬飛行試験の結果より、以下に示す現行基準の弾力的運用・改訂の候補が抽出された。ヘリIFR運航普及のため、これら項目の早急な精査と実施が必要である。
1)携行予備燃料及び代替飛行場
固定翼機に比べて航続距離の短いヘリコプターにとって、固定翼機と同じ携行予備燃料及び代替飛行場の要求は、ヘリコプター運用能力の制限となっている。
ア)携行予備燃料:現在の要求は固定翼機と同じ45分であるが、ヘリコプターは固定翼機と異なり非常着陸場の選定が比較的容易であること、また米国に於いては携行予備燃料の要求が30分であることから、携行燃料の要求を30分に変更する事が考えられる。
イ)代替飛行場:ヘリコプターにおける代替空港設定の気象条件に関して、米国においては以下の改訂提案が行われており検討に値する。

目的空港における到着予定時刻前後1時間の気象条件

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2)ポイント・イン・スペース進入
現在ヘリポートには進入の為の航行援助施設は設置されておらず、又ヘリポートに航行援助施設を新たに設置することは経済的でない。従ってヘリポート近傍の既存航行援助施設を利用した進入方式として、ポイント・イン・スペース進入方式の設定が有効と考えられる。本方式は米国では既に採用されているところもあり、今回の模擬運航においても一部ポイント・イン・スペースの考え方をもとに運航を実施した。
3)アーク進入
前項のポイント・イン・スペース進入と全く同様の理由で、アーク進入方式の設定も有効である。本方式も米国では既に採用されており、今回の模擬運航においてもほぼ同等の運航を行った。
なお進入に使用する航行援助施設はヘリポートから10NM以内にある事が要求されている。しかしアーク進入に於いては角度より精度の高い距離(DME)情報を主に使用するので、ヘリポートから10NM以上離れた航行援助施設の利用についても今後検討することが望ましい。なお米国に於ける基準は、7〜30NMのアークを使用している。

 

 

 

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