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5.2 伊豆愛らんどシャトル
ヘリコプターによる計器飛行ルートの典型的な例として、海上運用:伊豆愛らんどシャトルを選び当該ルートの運航上もっとも係わりのある運航者ということで東邦航空が、当該ルートの飛行パターンの検討及び模擬運航を担当した。
1)計器飛行方式の設定
伊豆愛らんどシャトル5路線のうち4路線について(1路線は距離が短すぎるため対象外)検討した。設定にあたっては、以下の考え方にしたがって行った。
・飛行場における出発進入方式は、現行基準に準じヘリコプター用に距離を短くした。
・場外離着陸場においては、ポイント・イン・スペース進入方式を採用した。
・飛行経路の設定は、航空保安無線施設聞については航空路設定基準により、その他については計器飛行による出発進入方式設定基準によるものとした。
VFRとIFRの切り替え点をポイント・イン・スペース(PIS)とし、設定にあたっての基準を以下のとうりとした。
・PISはNDB又はVORからの方位線の交点、またはVOR/DMEからの方位線と距離によって定められる点によって設定。VFRからIFR切り替えのみのPISについては、明確な地上目標が設定出来る場合には当該地上目標。
・PIS区域は半径5nmの円とし、最低高度は当該区域内の最も高い障害物の高さに1000ft加えた高度とし、100ftの倍数の単位とした。VFRからIFR切り替えのみのPIS区域については計器飛行経路側半円のみ。
・PISから(まで)の計器飛行に係わる経路(PIS飛行経路)の区域は飛行経路の両側に5nmの幅を有する区域とし、最低高度は当該区域内の最も高い障害物の高さに1000ft加えた高度とし、100ftの倍数の単位とした。
2)IFR模擬運航
模擬運航にあたっては、本省航空局、東京航空交通管制部及び東邦航空間で事前調整を行った。模擬運航当日は、箱根レーダーが整備のため利用不能であったが、設定ルートでの航法、通信及び飛行の容易性についてデータの取得をおこない、以下の結果を得た。
・管制機関との通信設定は良好。
・飛行の容易性については特に問題無し。
・三宅島近くのKUWWA点で三宅島VOR/DMEの受信状態が悪かった。
試験の詳細報告として、東邦航空作成の“ヘリIFR模擬運航実施報告”を次頁に示す今回ポイント・イン・スペース進入方式を用いたが、本方式については現行基準として正式に認められた方式ではないため、今後当該方式の設定基準、検証が必要とされる。また、一部区域において航法支援施設の受信状態が悪く、それを改善するために地形の影響の少ない航法システムの導入が望まれる。

 

 

 

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