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3.3 ICAOの動向
ICAOの動向として、将来航空航法システム(FANS:Future Air Navigation Systems)構想の概要のついで記す。
1983年末のICAO理事会によって、民間航空に導入が予測されている衛星技術を含む2010年までの新しい航空航法システム技術野あり方について検討するためにFANS特別委員会が設立され、この特別委員会によって策定されたFANS構想は、92年にICA0総会にて正式に承認された。
新システムの策定に際し、現行システムの問題点を洗い出し、そこから以下に示すような新システムに対する3つの要求事項があげられた。
・低高度から高々度までをカバーし、かつ、遠隔地、沿岸、洋上の各地域を含む世界的なCNS(Communications, Navigation, Surveillance)覆域。
・空地の自動化を完全に達成する空地システム間のデジタル・データ通信。
・MLS(Microwave Landing System)を必要としない滑走路等への航法/進入サービス。
このような要件に適合可能な新システムを検討した結果、現代段階では衛星技術の導入を柱としたシステムが、現行システムの問題点を解決し将来の要求を満足することができる唯一の解決策とされた。2010年までに新たに導入を目指すべきCNSシステムとして以下のものが挙げられてた。
?通信(Communications)
静止衛星によるAMSS(Aeronautical Mobile Satellite Service:航空移動衛星業務)である。
?航法(Navigation)
GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Orbiting Navigation Satellite System)等といった衛星システムをもちいたGNSS(Global Navigation Satellite System)である。
?監視(Surveillance)
航空機に搭載した航法装置で得られた位置情報等をデータ・リンクで自動的に地上の管制機関に送り航空機を監視する方式であるADS(Automatic Dependent Surveillance:自動従属監視)システムである。
FANS特別委員会は以上の3つの新システム導入を柱とした将来のCNSシステムを示した。図3.3-1に、新システム概要を示す。
FANS構想に基づいた具体的なシステム移行計画については、地域べースで検討・策定していくとが決定されており、現在アジア・太平洋地域航空計画実施グループにおいて具体的な移行計画を作成中であり正確なスケジュールを示す事はできないが、諸事情を考慮すると、移行は4つのフェーズで行われると予想される。図3.3-2に各フェーズにおける通信、航法、監視に関する主要イベントの進捗状況を示す。

 

 

 

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