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2.2 ヘリコプター運航の課題
ヘリコプターは、空中で停止(ホバリング)したり、どこでも離着陸可能であるといった利点がある反面、天候に左右される(定時性、信頼性の欠如)、騒音が高い、運航費が高いといわれている。ここでは、これらの課題について調査検討した結果を述べると共に二地点間輸送についての問題点についても述べる。
1)天候に左右される(定時性、信頼性)
現在飛行しているヘリコプターのほとんどは、計器飛行に必要な機器を装備している、もしくは装備可能であり、そのための型式証明も受けている。しかし、計器飛行/計器飛行方式で飛行するためには、機上の機器だけでなく巡航時のみならず離着陸も計器によって飛行可能とするための援助施設を必要とするので、そのような施設をもったヘリポート/飛行場が必要となる。
しかし、そのような援助施設があり計器飛行が可能となっても、ヘリコプターの場合、一部の機体を除いて凍結防止装置を装備していないので、飛行中凍結が予想される気象状態では飛行が制限されることになる。この凍結防止装置は、非常に重く、また高価なものであるためなかなか装備がむづかしい。この問題を避けるためには、凍結が予想される高度/空域を回避できるヘリコプター専用の低高度航空路が必要である。
2)機外騒音
ヘリコプターは、機外、機内共に高騒音を発生する。最近では、特別な機内騒音対策が施された機体が就航し、機内騒音についてはかなり静かになってきたが、機外騒音については未だ満足いく状況にはなく運航面で対処しているのが現状である。
たとえば、住宅密集地上空では飛行高度を高くするか又は飛行経路の選択によって対処しており運航上の柔軟性が失われているのが現状である。したがって、住宅密集地上空でも飛行可能な低騒音ヘリコプターの開発が必須である。
3)運航費
ヘリコプターの運航費は、飛行機の10倍以上であり、他の交通機関に比べて非常に高価である。運航コスト高の要因としては以下があげられる。
・機体価格が高い
・整備費用が高い(複雑な構造、高価格な定時点検費等)
・スケール・メリットが少ない
・1機あたりの稼動時間が少ない

 

 

 

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