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3.0 おわりに
携帯用電子機器が航空機に与える影響に関する日本国内での研究はまだ始まったばかりである。海外では携帯用電子機器が航空機に影響を与えた事例が多く報告されており、また今回の研究期間においても国内航空会社から複数の事例が報告されているが、いずれも因果関係は証明されていない。
今回シールドルームで測定したデータは航空機搭載用電子機器に対して適用される基準であるDO-160Cに基づいて測定されたものであり、この基準と比較すると低周波数域において一部放射レベルが基準を逸脱した機器があった。しかし携帯用電子機器が航空機に与える影響をこのデータだけから判断するのは困難であり、EMIの発生メカニズムや携帯用電子機器と航空機側システム間の等価的経路損失、システムが機能損失を起こすEMIレベル等を総合的に勘案のうえ、判断する必要があろう。又、機内に持ち込まれる可能性のある携帯用電子機器は外国製品や毎日のように発表される新製品などを含めるとその数は計り知れず、今回の測定は代表的な国産の携帯用電子機器の一部について測定を行っているのみである。特に、最近流行している「たまごっち」のようなものは今回の測定品目に含まれていないが、今後はこのような持ち込みの可能性の高いものについても注視していく必要があろう。
最終的には航空機内で使用される可能性のある携帯用電子機器に対して適用できる基準の設定、機体型式毎に異なる等価的経路損失の検討等を経たうえで我が国としての対応を図るべきと考える。その意味では、今回の研究はその第一歩を踏み出したものといえる。
今後、欧米各国、特に米国での動向ならびに航空会社の運航を通じて報告される事例を十分モニターしながら、この研究を続けていくことが肝要であると考える。

 

 

 

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