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2 調査研究

2.1 FANS機上装置

2.1.1 機上のFANSに係わるソフトウエアの調査
機上のFANSに係わるソフトウエア概要については、平成7年度「CNS/ATMシステムに対応した機上装置の導入評価研究」報告書を参照することとし、本稿では、「GPS」、「RNPとANP」及び「FMCの位置情報」に関して詳細を述べる。

 

2.1.1.1 GPS
(1) GPSの概要
GPSとはGlobal Positioning Systemの略で、米国防総省が1973年より開発を始め1993年に初期完成宣言が出された衛星航法システムのことである。現在GPS衛星は地球から20,000km上空の6つの軌道上を周期約12時間で周回している。一つの軌道上に4個づつ合計24個の衛星が配置され、地球上のどんな地点からも常に最低4個の衛星が捕捉出来るようになっている。
GPSはスペース・セグメントと呼ばれる人工衛星、コントロール・セグメントと呼ばれる衛星の管制やデータ更新・モニターを行っている地上ステーションそしてユーザー・セグメントと呼ばれるユーザーの受信機から構成されている。(図2.1.1.1−1)
GPSの構築に要した費用は約1兆円、運用経費は年間500億円と言われている。米国は2005年までの利用料は無料としているが、それ以降については言及していない。ICAOによるFANS構想の中で、GPSはロシアの衛星航法システムであるGLONASS1と共に将来の航法援助施設として位置付けられたGNSS2の候補として取り扱われている。最近の情報によればロシアもICAOに対してGLONASSをGNSSの一つとして認めるよう要請したとのことである。
(2) GPSのしくみと精度
ここでGPSによる位置計算のメカニズムについて説明する。GPSの受信機では?受信した衛星電波の伝搬時間と?衛星の軌道情報の2つを受け取る。この内?より各衛星からの距離が算出され、?からは電波が出た時間の各衛星の位置が把握できる。通常3次元での位置は3個の衛星からの距離がわかっていれば算出できるが、GPSの場合は受信機側の時計精度が高くないので、4個目の衛星を利用して時計の補正を行う必要がある。
(図2.1.1.1−2)

 

1 GLONASS:Global Orbiting Navigation Satellite System
2 GNSS:Global Navigation Satellite System

 

 

 

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