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参考資料

 

1. 高粘土油用油処理剤公開試験問答集
2. 高粘土油用油処理剤公開試験シナリオ

 

1. 問答集

今回の調査研究の背景
沿岸航行中の船舶の衝突、座礁等の海難事故により、積荷油類や燃料油が海上に流出したとき、これらの油を沖合で100%物理的に回収することは、ほとんど不可能であります。
そのため、この種事故におきましては、余程好条件に恵まれない限り、流出油は海岸にまで漂着し、水産業や観光業等への影響が大きく、社会問題化します。しかも、一般的に、時間の経過とともに、流出油はムース化し、高粘度化が進みます。今までは、このような高粘度化した流出油の処理は、人力による防除以外適切な手法はなく、現実に多くの人手をかけてきました。
例えば、1990年(平成2年)に京都府の丹後半島付近海域で起こった燃料油の流出事故では、延20,000人の人手をかけ、その処理には60日を要しましたし、1993年(平成5年)に福島県の塩屋埼沖で起こったC重油の流出事故では、延10,000人の人手をかけ、その処理には39日を要しています。
これらの事情を抜本的に改善するために、今回の調査研究を実施したものです。

 

今回開発した油処理剤は、どのような特徴があるか。また、世界的に見てそれはどのように評価されるか。
油処理剤の油塊分散能力は、油の流動点と周辺海水温度における粘性に大きく依存します。風化及びエマルジョン化作用により短時間のうちに油の粘性は増大し、流動点が上昇し、結果的には分散抵抗性が大きくなり、分散しにくくなります。
油の粘度が非常に高いと、油処理剤の溶剤が油中に浸透する前に油処理剤が油から逃げてしまうので有効でなくなります。一般的に、油処理剤は約2,000cSt(コンデンスミルク程度)の液状油及び油中水エマルジョンの大部分のものを分散させますが、2,000cStを超えると効果が薄れ、5,000cS

 

 

 

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