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? 調査研究成果の発表

1. MARIENV '95で発表した論文

MARIENV’95で発表した論文(英文)は、次のとおりである。
ここでは、その概要を示すこととする。
流出油の防除手法の一つとして油処理剤を使用して海水中に乳化分散させる処理方法がある。
現在、世界各国で使用されている油処理剤は、?通常型油処理剤、?高濃度型油処理剤及び?航空機散布用油処理剤の3種がある。?及び?の油処理剤は、油面に散布した後、機械的撹拌を行い乳化分散させるタイプであり、?はビューフォート3以上の風力階級であれば撹拌をする必要のないタイプである。
これらの油処理剤は、流出直後の比較的新鮮な低粘度油に対しては乳化性能が高く有効であるが、高粘度油又は軽質成分が蒸発し、油中に水分が入った風化油に対しては乳化性能が極端に低下する欠点をもっている。
例えば、エクソン・バルデーズ号事故では、油処理剤の使用許可(米国では環境保護庁の許可を必要とする。)がなかなか得られず、流出油が風化したため、油処理剤の使用の機会を失ったと報告されている。
一方、我が国の流出油事故は、粘度の高い燃料油が主で現有の油処理剤では乳化分散の効果が低いといわれている。
本調査研究では、通常型油処理剤を使用して高粘度油に対する乳化分散試験を行い、その限界性能を調査した。また、高粘度油又は風化原油に対して有効と思われる界面活性剤及び溶剤をスクリーニングして、これらを種々組み合わせて乳化分散試験を行い、高粘度油等を処理できる油処理剤の開発に取リ組むこととした。
その成果の一部をまとめると、次のとおりである。
?通常型油処理剤は、油の粘度が3,000cSt以上になると舶査第52号の判定基準以下となり、高粘度油には適さない油処理剤である。
?高粘度油用として有望と思われる界面活性剤と溶剤をスクリーニングした。

 

 

 

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