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?. 油種による対応

防除の手法を決定するためには、まず何よりも油の種類と状態を知ることが必要である。1.A重油の流出
(1)概要
センターが実施した件数としては一番多い。これは漁船や小型内航船等では、燃料とし
てA重油を使用することが多いためである。
主な原因としては、衝突・乗り揚げが大半を占めている。
流出の規模は小一中規模、防除作業日数は2〜3日となることが多い。
(2)流出状況
A重油は、流出源から数百m〜数マイル漂流の後、風浪等の影響で蒸発攪拌され希釈分散する。
(3)運用
?閉鎖海域で発生し、沿岸漂着が予測される場合は、早急に洋上回収・処理を行う必要がある。
?既に沿岸漂着している場合は、被害を受ける海岸を最小にする工夫が必要である。
?オイルフェンスの活用による油の包囲、または誘導により回収を行う。
●大量の場合……油回収船、油回収装置による回収
沖合いでの回収困難な場合の油処理剤散布
●小・中量の場合……油吸着材、油吸着フェンスによる回収、航走攪拌等
?沖合の開放海域で発生し、沿岸漂着の可能性のない時は漂流監視を実施する。
漂着の可能性がある時は、油処理剤を散布し、航走攪拌を実施する。
?オイルフェンスの活用により、保護の必要な海域を汚染から護る。
?揮散、分散を促進させるため、タグ等による放水・航走攪拌を行う。
2.C重油の流出
(1)概要
センター取扱件数の1/3を占める。
C重油は、大型船の燃料として使用され、また火力発電所用の燃料として大量に輸送されており、これらの船舶の海難等により事故が発生している。
流出量、防除に要する日数も多くなるため、甚大な被害を発生させる可能性がある。
(2)流出状況
C重油は蒸発せず、1〜3日ほどで風化(ムース化)する。(写真1参照)
沿岸漂着により、漁業、工業プラント、観光の産業等に被害を及ぼす。

 

 

 

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