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海上防災研修資料

I. 海洋への油の流出状況

海洋への油の流出が、“自然界の破壊、産業に大きな影響を与える”として社会間題化したのは、大量の石油を消費するようになった1960年代からのことである。特に1967年3月英国で発生したトリー・キャニオン号の事故は、世界中に映像がマスメディアを通じて報じられた初めての大規模な流出で、この事故は、流出油防除にかかわる国際条約、国内法化へのきっかけを作った。更にその後、11年周期でアモコ・ガディス号、エクソン・バルディーズ号等の大規模なタンカー事故が発生し、その都度国際条約、国内法の改正、強化が繰り返されている。
一方我が国においては、昭和40年代に入り原油が大量に輸入消費されるようになるとともに油流出事故も増加し、昭和46年新潟沖でのジュリアナ号の海難による原油流出、昭和49年水島での重油流出が初めて大きな社会問題、災害として認識されることとなった。それらの事故を契機として、法・体制面での対応が強化され、また関係者の理解と努力により、昭和50年以降の流出油確認件数は減少の傾向が見られる。(図1一(1)(2)(3)参照)
しかしながら、油流出事故は一度発生するとその規模は非常に拡大する恐れがあり、自然界及び産業活動への影響は計り知れないものである。海上災害防止センターは、昭和51年10月1日の設立以来116件(H8年8月現在)の排出油等の防除を実施してきたが、この経験から実務にかかわる人達に役立てて頂くため以下に流出油防除の要点を研修資料として簡単に取りまとめた。

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図1−(1)日本の石油輸入の実績及び油による海洋汚染確認件数

 

 

 

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