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4.事業の成果

平成8年度の海上防災訓練は、研修会においては部外講師の招請、訓練においては対象を排出油防除協議会まで拡大し、またブロック制による契防者の訓練参加機会の拡大等、訓練実施方式を改善することにより充実強化を図った。
次の点が新方式による訓練の成果として上げることができる。
(1)部外講師の講演
従来は、海上保安庁職員、センター職員が主として海上防災体制、流出油防除に関する技術面を中心に講演を行っていたが、部外講師を招請することにより、那覇地区においては永年海洋環境問題の研究に従事している徳田元東京大学教授の油濁による海洋環境の変化等実例を挙げながらの講演は、参加者に深い感銘を与えた。また、名古屋地区及び博多地区においては補償制度の中心的機関の石油海事協会講師の講演は、補償制度の理解を深めることができ、さらに釜石地区、下田地区及び福山地区においては、より専門的な防除技術について理解を深めることができ、それぞれ研修内容の充実が図られた。
(2)契防者の地域的連携
釜石地区においては同一ブロック内の青森地区、八戸地区及び大船渡地区から、下田地区においては清水地区及び田子の浦地区から、名古屋地区においては衣浦地区から、福山地区においては尾道糸崎地区及び呉地区から、博多地区においては三池地区、唐津地区及び伊万里地区からの契防者の参加を得て、研修会、防災連絡会議及び海上訓練への参加を通じ、海上防災に関する認識を新たにするとともに、日頃交流の少ない契防者間においても地域的な広がりの中で相互の連携が図られた。
防災連絡会議は、地方海上保安部署、センター及び契防者間の発災時における行動認識の統一化が図られた。
(3)排出油防除協議会の活性化
対象範囲を排出油防除協議会会員まで拡大したことにより、従来から組織化されていたものの実態的に組織活動に乏しかった同協議会は、センターの実施した研修会、海上訓練を通じ、同協議会の活性化及び海上防災に対して再認識するきっかけとなった。

 

 

 

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