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2.2 Edinburgh 大学訪問調査

6月21日及び22日に英国エジンバラ大学のStephen Salter氏とJamie Taylor氏の研究室を訪問し、英国の海洋工学、特に波力発電装置の研究開発の動向及び将来展望について調査することが出来た。
まず、エジンバラ大学における波力装置に関するこれまでの研究と現在開発中の装置についての説明を受けた。日本の波力装置の研究開発の主流が振動水柱型の装置であるのと比べると、ポイントアブソーバー(波を面ではなく、点で受け止めることにより、入射幅以上の波をエネルギー吸収の対象と出来る装置)に近い装置や稼動部となる機械要素が多く、コンピュータ制御を積極的に用いる装置が研究対象に多い印象を受けた。これは、日本の多くの波力装置の研究者が装置の耐久性を重視して、稼動部の少ない振動水柱型の装置を採用しているのに対して、装置のエネルギー変換効率・経済性を最重要視して、この様な研究対象を選択している様に思われた。また、ワークショップとそれに携わる優秀な技師を持っために、この様な機械要素の多い装置の研究が行いやすい様にも思われた。
特にエジンバラ大学では最近は、ソルターダックの様な波力装置に用いる油圧ポンプ・モーター等の機器類の開発を中心に研究を行っている様である。また、EUによる波力エネルギー研究開発支援プログラムであるJOULEプログラムにも協力しており、JOULEプログラムより資金援助を受け波力装置の商用利用を行おうとしているART社(調査者は同社にエジンバラ大学の後に訪問した)ともタービンブレードの設計などに関して、エジンバラ大学から開発支援を行っているとの事である。
また波力装置の実験に用いる為に独自に開発された分割式のプランジャー型の造波機を備えた水槽を見学し、波力装置の研究開発のためには性能の良い造波機が重要である事を実感させられた。

 

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図2.2−1 Edinburgh大学実験水槽

 

 

 

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