日本財団 図書館


 

あるようである。その場合は、第2希望に回ってもらったり、他課をあっせんする。市町村によっては、希望の部所でないと研修効果が上がらないとして、研修そのものを辞退するケースもあるという7)。
どの県においても最も希望が多いのが地方課である(表9−2参照)。しかし、この表の数字でさえ、実際に受け入れた人数であり、「調整」を経る前の当初の希望はこの数字を上回るケースが多いようである。地方課に希望が集まる理由は、いくつか考えられるが、第1に、一般に、市町村の、とりわけ町村の場合、職員1人あたりの担当領域が広く、専門特化した研修よりも行財政全般にわたる研修が求められること、第2に、いまのことと関係して、県において市町村行政を一般的に扱っている部所が地方課であること、第3に、地方交付税や地方債などを所管する地方課との交渉が市町村にとってきわめて重要な意味をもっていることなどであろう。このほか、副次的な理由として、県行政において地方課が重要な位置を占めているため、一般的にいって、地方課には将来有望な県職員が集まる傾向が強く、そうした職員との接触が研修職員にとって将来的な「資源」となることへの期待も込められているのかもしれない。地方課の他に、比較的希望の多い課は、企画調整課、地域振興課、都市計画課などである。
市町村ごとの受け入れ人数の制限について「要綱」で定めているのは栃木県のみであり、「同一市町村につき3人以内」としている。ほかに、福島県が、規定はないもの、運用上の措置で、原則として1市町村につき1名としている。他県の場合、複数名の職員を派遣する市町村も見られる。
派遣職員の年齢について「要綱」に定めがあるのは福島県のみであり、「25歳以上35歳未満」となっている。他県の場合、そのような規定はなく、市町村の判断にまかせているが、概ね、役職前の若手職員が派遣される。ちなみに、福島県の過去10年間の実務研修生の平均年齢は31.4歳、山形県の過去3年間の平均は31.3歳である。このほか、岩手県の場合は、20歳前後から40歳前後まで分布しているものの、大半は28歳から35歳の中に収まっているとのことである。群馬県の場合は、30歳程度から40歳くらいまでという県の方針もあって、他県よりやや高めのようであるが、基本的には市町村の判断にまかせているため、20代で派遣されるケースもあるという。これに対して、宮城県の過去13年間の研修生の平均をみると28.3歳、秋田県の今年度の平均は26.3歳であり、他県とくらべて少し若めである。「若手」の研修であることを重視するか、一定程度の「経験」を積んだ若手の研修であることを重視するかの違いが、微妙に現れているものと思われる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION