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(9)評 価
 
フィンランドは、歴史的、地理的、経済的に旧ソ連と深い関係をもっている。それは帝政ロシア時代から始まり1991年12月、旧ソ連邦が崩壊するまでの永きにわたり続いていたが、現在は隣国諸国並びに西欧諸国との親交をだんだん深めている。
同国の造船技術力は特に客船及び砕氷船の分野では優れており国際競争力を充分に備えている。なかでもマサヤード(ヘルシンキ造船所)は上屋付きドックで客船建造では世界的に名高い造船所であり、日本郵船?発注の「クリスタル・シンフォニー(49,500総トン)」もコスト面で同造船所に発注されたといわれており、1995年4月に引渡しされる予定で現在、艤装中である。
1991年7月に当会の欧州造船業調査の一環として視察したが、同造船所のあるヘルシンキは街全体が強固な岩盤上にあり同建造ドックも岩盤を掘削してつくられており渠底、渠口部及び渠壁上部はコンクリートで固めてあるが、中間部の渠壁は岩肌のままの素掘りドックで、わが国のドックと比べ建設費は割安である。これらも建造コスト低減のひとつとも推察される。また、同国の海運業もそれほど盛んでなく、船腹保有量も約135万総トン程度であり今後も、さほどの海外発注はないと思われる。従って、上記二点を勘案して将来、中小型船の有望市場となることは考えられない。
 
 

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